診療・介護報酬は同時引き上げ/民主、社会保障の公約素案
民主党の参院選のマニフェストを検討してきた国民生活研究会(会長=中野寛成衆院議員)は5月7日、社会保障分野の素案をまとめた。医療・介護関連では、同時改定となる2012年度改定での診療報酬・介護報酬の引き上げを掲げたほか、医師養成数を増員して地域医療の担い手として活用する仕組みを創設することなどを盛り込んだ。ほかの2つの研究会の素案と合わせ、党と政府のマニフェスト企画委員会で5月10日から絞り込みや調整を行う。最終的なマニフェストは5月末に政権公約会議(議長=鳩山由紀夫首相)で決定する。
国民生活研究会の素案は、医療・介護・年金分野を担当した分科会がまとめた▽医療提供体制の整備▽医療の安心・納得・安全▽歯科医療改革▽介護労働者の処遇改善(介護提供体制の整備)▽要介護認定の見直し―など11項目を踏襲した。
医療提供体制の整備では、12年度改定での診療報酬の引き上げを明記。医療スタッフの増員に努める医療機関への財政支援を行うとしたほか、介護報酬との同時改定では医療と介護のすき間を埋め、効率化を行うとした。医療の安心・納得・安全では、医療事故の原因究明・再発防止を図るための体制を整備するとし、すべての診療科を対象とした無過失補償制度の創設をうたっている。
医療分野ではこのほか、新規項目として▽予防接種の見直しやたばこ対策を含む予防医療の推進▽アレルギー・化学物質対策一などを盛り込んでいる。
介護分野では、介護現場で働く人の処遇を改善するために、12年度改定で介護報酬の引き上げを行うとし、新規項目として「介護疲れ」の家族への支援を盛り込んだ。
●「ペイ・アズ・ユー・ゴー原則」明記
素案は、財政健全化への取り組みを強く打ち出した。政府が6月に策定する中期財政フレームと財政健全化目標を着実に実行するとし、それらに沿って消費税を含む税制の抜本改革を行うことを提案。恒久的な政策を新規に導入する場合には、別の歳出の削減や増税による恒久財源の確保を義務付ける「ペイ・アズ・ユー・ゴー原則」を採用すると明記した。
11年度から新たに支給される半額分(1万3000円)を現物支給とする方向で調整していた子ども手当については、一部は現金支給として上積みし、残りを現物支給に充てることとした。現物支給と現金支給の割合は明示していない。(5/10MEDIFAXより)