診療の補助「法的線引き」に賛否/厚労省の「特定看護師」案  PDF

診療の補助「法的線引き」に賛否/厚労省の「特定看護師」案

 厚生労働省は2月18日の「チーム医療の推進に関する検討会」(座長=永井良三・東京大大学院医学系研究科教授)に、比較的侵襲性の高い医療行為を「診療の補助」として実施を認める「特定看護師(仮称)」を法制化すべきとの素案を示した。看護師が医師の指示下で行う診療の補助行為には、実施の可否が明確化されていない「グレーゾーン」の行為がある。「法的に明確化すれば、一般の看護師が普段やっている行為ができなくなる」「患者にとっても公的な線引きは必要」など、補助行為の「法的な線引き」に対して、委員からは賛否両論の声が上がった。

 報告書の素案には「特定看護師(仮称)」の、具体的な要件や行為が示された。認定・更新制を想定しており、認定機能を担う第三者機関の設置も提案した。

 行為例を挙げたのは「検査」「処置」「患者の状態に応じた薬剤の選択・使用」の3分野。「検査」では▽患者の重症度の評価や治療の効果判定などのための身体所見の把握や検査(トリアージ)▽動脈血ガス測定のための採血など、侵襲性の高い検査の実施▽エコー、胸部単純エックス線撮影、CT、MRIなどの実施時期の判断、読影の補助など(エコーについては実施を含む)▽IVR時の造影剤の投与、カテーテル挿入時の介助、検査中・検査後の患者の管理など─の4項目を挙げた。

 「処置」では▽人工呼吸器装着中の患者のウイニング、気管内挿管、抜管など▽創部ドレーンの抜去など▽深部に及ばない創部の切開、縫合などの創傷処置▽褥瘡の壊死組織のデブリードマンなど─の4項目を示した。

 「患者の状態に応じた薬剤の選択・使用」では▽疼痛、発熱、脱水、便通異常、不眠などへの対症療法▽副作用出現時や症状改善時の薬剤変更・中止─の2項目を提示した。

 「特定看護師(仮称)」の要件には▽看護師免許の保有▽看護師としての一定期間以上の実務経験(例えば5年以上)▽特定看護師(仮称)の養成を目的とした課程として第三者機関が認定した大学院修士課程を修了▽修士課程修了後に第三者機関による知識・能力の確認・評価を受ける─を挙げた。(2/19MEDIFAXより)

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