訪問リハビリの見直しなど提案/社保審・介護給付費分科会
厚生労働省は10月31日の社会保障審議会・介護給付費分科会(分科会長=大森彌・東京大名誉教授)に、2012年度介護報酬改定で介護保険が適用となるリハビリテーションの基準や報酬体系を見直すことを提案した。現場の実態を踏まえ、より柔軟に訪問リハビリや個別リハビリが行えるよう要件の見直しなどを盛り込んだ。
現行の仕組みでは、利用者の主治医が訪問リハビリを提供できない場合に情報提供を受けて訪問リハビリ指示を出す医師は、利用者を毎月診察する必要がある。厚労省は、訪問リハビリ指示を出す医師の診察頻度について、利用者の状態像に合わせて3カ月ごとでも可能とする見直しを提案。介護老人保健施設が行う訪問リハビリについても同様の要件とし、継続的な実施を可能とする。訪問リハビリの地域差軽減に向けて「サテライト型訪問リハビリ事業所」の創設も提案。介護予防訪問リハビリについても、同様の見直しを行うとした。
通所リハビリについては、医療保険からの円滑な移行を進めるため個別リハビリに着目した評価への見直しを提案。具体的には「リハビリテーションマネジメント加算」で現在は「月8回以上」としている利用頻度の算定要件を、「月4回以上」に見直すとともに、新規利用者全員に対し、利用開始後1月までの間に居宅を訪問して生活状況を確認した上でリハビリ計画を策定することを要件に加えるとした。サービス提供時間によって個別リハビリに対する評価方法が異なるなど、複雑な報酬体系になっている点も改め、同一の取り扱いとすることも盛り込んだ。通所リハビリと通所介護などについて、事業所と同一建物に住む利用者にサービスを提供する場合は送迎に手間がかからないことを踏まえ、報酬の適正化も提案した。
介護予防通所介護と介護予防通所リハビリについては、生活機能向上につながるサービスを効果的に提供できるよう、運動機能向上サービスと栄養改善サービス、口腔機能向上サービスの「選択的サービス」のうち、複数のプログラムを組み合わせて実施する場合に対する評価の創設などを提案した。
委員からは、訪問リハビリ指示を出す医師の診察頻度の見直しについて「状態の変化がある場合は頻度をもう少し短く設定することと、その際には必ずかかりつけ医に情報提供してもらうことを義務付けてほしい」(三上裕司委員・日本医師会常任理事)との意見や、通所介護と通所リハビリの区分が不明確とし「通所系サービスは、家族のレスパイト機能を包括した機能と、クラブデイやリハビリ、ナーシングデイ的な機能などの2階建てにすると分かりやすくなる」(池田省三・地域ケア政策ネットワーク研究主幹)などの声が上がった。(11/1MEDIFAXより)