規制改革、ライフイノベ13テーマを承認/行政刷新会議
政府・行政刷新会議(議長=菅直人首相)は7月21日、2010年秋から検討してきた規制・制度改革の積み残し分のうち、3月の規制仕分けのテーマも含めて、各府省と合意に至った56テーマについて改革方針を承認した。ライフイノベーション分野では、地域医療計画の基準病床等の見直し、救急救命士のニーズの把握など13テーマを盛り込んだ。一方、医療保険のリハビリテーション日数制限の見直しなど7テーマについては、改革方針の承認を見送った。7月22日、政府は新たに了承した改革方針について、閣議決定した。
行政刷新会議「規制・制度改革に関する分科会」は、10年10月から第2弾の規制・制度改革の議論を進め、1月に中間取りまとめを発表した。政府は3月下旬に改革方針を閣議決定する予定だったが、東日本大震災の発生により、各府省と合意に至っていたテーマに絞って4月上旬に閣議決定した。6月に各府省との協議が再開し、残るテーマについて調整が進んでいた。
7月21日の会議終了後に会見した蓮舫首相補佐官(行政刷新担当)によると、出席者からはスピード感のある改革や、震災の復旧・復興を優先的に考えた改革を求める声が上がったという。蓮舫首相補佐官は承認を見送ったテーマについて「今回で終わるのではなく、引き続き検討の対象にしていきたい」と述べた。また、復興に向けた今後の規制・制度改革については、枝野幸男行政刷新担当相(官房長官)が判断する事案とした上で「避けては通れないのではないか」と述べた。
●地域医療計画、条件付きで増床を認める方向
ライフイノベーション分野で今回承認された改革方針を見ると、全体的には、1月の中間取りまとめ時点よりも厚生労働省の意向が反映された内容になっている。
地域医療計画の基準病床等の見直しでは、都道府県が地域医療計画について主体的判断が発揮できるよう11年度中に弾力的な運用を検討する方向性を示している。2次医療圏内の市町村長の同意を得て病床数を削減できた場合、病床数過剰な他の2次医療圏での増床を認めることも検討する。
中間取りまとめで「救急救命士の職域拡大」と記されていたテーマは、「救急救命士のニーズの把握」に変わった。救急救命士の就職先に関する情報を志願者に周知するよう養成所に求めるとともに、医療機関の採用希望の有無を調査する方針で、12年度に対応する予定だ。
高額療養費制度の見直しについては、外来診療の現物給付を12年度から実施する方針を明記した。患者のさらなる負担軽減については、社会保障・税一体改革成案を踏まえて11年度中に検討する。(7/25MEDIFAXより)