要介護認定の内部文書「局内の資料」/厚労省が存在認める
要介護認定の見直しによる軽度化が介護給付費の抑制につながるとした厚生労働省の内部資料の存在を共産党の小池晃参院議員が指摘した問題で、資料の調査を行っていた厚生労働省は4月13日、「局内の打ち合わせで用いた資料と確認された」とする報告書を取りまとめた。厚労省は14日の参院厚生労働委員会で調査結果を報告する。
宮島俊彦老健局長は同日の「要介護認定の見直しに係る検証・検討会」で老健局の内部資料だったことを報告。「介護報酬引き上げが避けられない中で財源をどうするか。実現可能性を問わず作成された資料。実際に行ったものはほとんどない」と述べた。
小池氏が指摘した内部文書は、要支援2と要介護1の割合を「5対5」から「7対3」に近づけるとする「要介護認定2009年度制度改正案」と、要介護度の重度変更率を減少させることを想定して介護給付費の縮減効果額を示した「09年予算要求スケジュールの取り扱いについて(案)」「介護給付費の縮減効果額(給付費ベース)」。
報告書によると、「要介護認定改正案」は08年4月24日に老人保健課が作成した。ただ、制度見直しに向けて実施したモデル事業では、旧方式で「要支援2が51%、要介護1が49%」、新方式で「要支援2が45%、要介護1が55%」と、いずれも7対3にはなっていない。報告書は、新方式ではむしろ要介護1の割合が高くなっているとし、自治体に対し「7対3」にすべきとの指導を行った事実はないとした。
一方、「介護給付費の縮減効果額」に関する資料は08年2月6日に総務課が作成した。報告書は、1年後の09年度介護報酬改定がプラス改定となった場合を想定し、財源確保のために、実現可能性は問わず老健局内の議論のために作成した資料とした。また、資料の中で触れている「要介護認定の適正化」は、都道府県の介護給付適正化計画に基づく適正化事業を指すとし、09年4月の要介護認定制度の見直しとは無関係とした。(4/14MEDIFAXより)