要介護認定、軽度化是正で「混乱終息」/厚労省検討会が結論
厚生労働省は1月15日の「要介護認定の見直しに係る検証・検討会」に、判定基準を改訂した2009年10月以降、申請者の要介護度分布が06−08年とほぼ同様に戻ったとの分析結果を報告した。同検討会は、要介護認定の基準改訂で起きた09年4月以降の混乱はほぼ落ち着いたと結論づけた。
全国の自治体から厚労省に報告のあった申請者の情報について集計を行った。報告市町村数は1396市町村、集計対象となった申請者数は17万1168件だった。
集計結果によると、09年10−11月に判定を行った要介護認定申請者のうち、2次判定結果が「非該当」となった人は1.1%で、09年4−5月(経過措置適用前)から1.2ポイント減少した。ただ、08年10−11月と比較すると0.3ポイント増加していた。「要支援1」の判定を受けた人は16.1%で、09年4−5月から1.6ポイント減少したが、08年10−11月と比較すると1.6ポイント増えていた。要介護3−5のいずれかの判定を受けた申請者は全体の32.1%を占め、09年4−5月と比べて0.7ポイント増加、08年10−11月と比べて1.7ポイント減少していた。
一方、研修実施状況ごとに判定結果を集計したところ、認定調査員と審査会委員のそれぞれ8割以上が研修に参加している自治体では「非該当」が1.0%、「要支援1」が14.5%と、より08年の判定結果に近づく傾向が見られた。
これらの結果を踏まえ、厚労省は「研修をしっかりと行うほど、過去3年間と近い要介護度の分布になる」と説明。より充実した研修の実施を自治体に求めるとした。また、2次判定でより正確な判定が行えるよう、1次判定に反映されない介護の手間は、特記事項に記載するようあらためて周知するとした。
三上裕司委員(日本医師会常任理事)は「前回、要介護認定の見直しが突然決まったという経緯がある」と述べ、現場に混乱が生じたと指摘。今後、要介護認定の見直しを行う際には、公の場で検証を行うことを同検討会として提言するよう求め、了承さ
れた。
また、主治医意見書の記載が不十分な場合があるとの指摘が同検討会で上がったことに対し「医師会としても、事務局と相談しながら、主治医意見書の見本のようなものを作成したいと考えている」と述べた。(1/18MEDIFAXより)