複数意見併記で政治判断の選択肢提示へ/社保審・介護保険部会
社会保障・税一体改革成案を受けて再開した厚生労働省の社会保障審議会・介護保険部会(部会長=山崎泰彦・神奈川県立保健福祉大名誉教授)は11月24日、これまでに行った介護分野の制度改革に関する議論を整理し、おおむね取りまとめた。介護職員の処遇改善策や介護納付金への総報酬割導入、利用者負担割合の見直しなどについて賛成派と反対派双方の意見を複数盛り込み、一定の方向性を打ち出すというより政策判断を行う際の選択肢を示す形でまとめた。部会長預かりで月内にも最終版を取りまとめる見通しだ。
厚労省が同部会に示した整理案では、介護職員の処遇改善をめぐって「介護報酬に組み入れるべきとの意見が多かった」とした一方「介護職員処遇改善交付金を維持すべき」との意見も併記。同交付金を介護報酬に組み入れる場合は、現在の介護報酬に加えて別枠で相当額を確保するよう求める意見があったとした一方、事業者の収支が改善した状況などを踏まえ「特段の措置を講ずることは不要」との意見も盛り込んだ。
40−64歳が負担する介護納付金への総報酬割導入については、被用者保険間で負担の公平化を図るなどの観点から「賛成する意見が多く見られた」とした。一方「応能性の強化というものの、介護職員の処遇改善の財源確保の辻褄合わせに他ならない」などの意見もあったとし「強い反対意見があった」と加えた。
要介護1−2で施設サービスの給付額が在宅の支給限度額を上回ることについては「支給限度額を超える部分に医療サービスの要素も含まれている」と追加的な負担に懸念を示す声があったとした一方「支給限度額を上回る部分について負担割合を高める見直しを行うべき」との意見があったともした。
一定以上の所得がある高齢者や要支援者の利用者負担割合の引き上げ、ケアプラン作成への利用者負担導入などについても複数意見を併記。所得の低い第1号被保険者(65歳以上)の保険料軽減強化策については「全般的に肯定的な意見だった」とまとめた。
事務局案を受け、委員からは「(施設サービスの給付額で)支給限度額を超えている部分だけが医療サービスの要素とは理解していない」(山田和彦委員・全国老人保健施設協会長)、「利用者負担が増えるということは給付を減らすということ。社会保障を少し後退させて持続可能性を高めるということで、同じ応分の負担でも(保険料とは)違う意味合いだということが分かるような書きぶりにしてもらいたい」(三上裕司委員・日本医師会常任理事)などの声が上がった。(11/25MEDIFAXより)