被災者の声を反映せよ 国の責任で生活と健康の保障を
2012年6月に成立した「原発事故子ども被災者支援法」(以下、支援法)は、成立から1年以上を経ても、支援法に基づく基本方針すら策定されていなかった。
そのような状況に対し、協会は、7月30日付で、国の怠慢を指摘し、「直ちに被災した人たちの意見を反映するための公聴会等を開催し、速やかに基本方針を策定すること」などを求める抗議文を根本匠復興大臣に送付し、被災した人たちが「健康」に生きる権利の保障を求めた。
ところが、政府は8月30日になって唐突に「基本方針案」を公表し、パブリックコメント(以下、パブコメ)の受付を開始。パブコメの締め切りは当初、わずか2週間後の9月13日と設定された。しかし、事前に公聴会などが開催されなかったことへの非難や、締切延長を求める声が殺到し、締切は23日まで延長され、急遽、福島県と東京都で説明会が開催された。
基本方針案の大きな問題点は、(1)支援法に定められている被災者の声を反映させる措置が非常に不十分であること、(2)支援対象地域に福島県33市町村が対象とされているが、汚染された地域に比べると狭く限定されている―ことなどが挙げられる。
協会は、パブコメで、基本方針案策定にあたっては、全国各地で公聴会を開催し、被災者の意見を丁寧に聴取し、また、国連「健康に対する権利」特別報告者アナンド・グローバー氏による日本への調査に関する報告書に記載されている勧告内容(追加被ばく量1mSv以上の地域での健康調査の実施や、1mSvを下回るまでは帰還を強いるべきでないことなどが盛り込まれている)も反映したうえで、全面的に作り直すことを求めた。
被災した人たちや、避難せざるをえなかった人たちには、何の責任もない。すべては、国の責任で、被災した人たちのこれからの生活、健康を保障するべきであるとした。