被災者とともに被ばくを考える 医療者は訴えにどう向き合うべきか  PDF

被災者とともに被ばくを考える 医療者は訴えにどう向き合うべきか

 協会は2月9日、講演会「内部被ばくの専門家と当事者とともに考える『被ばくを知る』」を開催した。参加者は38人。岐阜環境医学研究所所長・市民と科学者の内部被曝問題研究会副理事長である松井英介氏が低線量被ばくの影響を、福島県から避難し、「避難者と支援者を結ぶ京都ネットワークみんなの手」代表である西山祐子氏が、被災者の方々の思いについて語った。

(講演会の模様は保険医専用サイトにて閲覧できる。後日、抄録集も発行予定)

見えない恐怖を知るために

 松井氏は、様々な核種について、体内に取り込まれた時の影響などについて説明。同時に、チェルノブイリ事故で汚染された地域の住民が立ち上がって、被ばくから子どもたちを守り、自分たちの生活を守るための「権利」を主張したチェルノブイリ法を紹介。この法律では、年間1msvを超える場所から避難する権利を国が保障しており、日本でもこの事故から学ぶことが多いことを指摘した。

 そのほか、ICRP(国際放射線防護委員会)の問題点、チェルノブイリ、劣化ウラン弾等の放射線被害の状況や、福島県での原発労働者被ばく、除染の問題点、避難先での孤独死の問題などを説明、問題は終わっていないことを強調した。

事故は終わっていないと訴え

 西山氏は両親と娘と一緒に「安心」を求めて福島県から避難してきた。医療については、検査の期間にこだわらず、同じ医師に継続して診てほしいなどの要望を語った。

 また、補償問題等により、避難者や福島県にいる人たちの間で確執や温度差が生まれることが最も悲しいと訴え、被災者支援法で、住宅保障・避難元にいる家族に会うための交通費・避難の権利の保障、健康診断・生活支援などを求めた。また、事故を風化させないことや、虐待等の事態を生まないように、避難者の大部分を占める母子避難者へのケアも必要と訴えた。

 最後に避難してきた人たちと、様々な人たちがつながりを持つことこそがケアにつながっていく、ともにいてくれるだけで十分であると述べた。

 なお、避難者の方に「医療に関するアンケート」にも協力を得、不安に思う気持ちを受け止めてほしいなどの声が集まった。

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