被災地域で日本版EHR試行へ/総務省、3次補正予算で  PDF

被災地域で日本版EHR試行へ/総務省、3次補正予算で

 総務省は、クラウドコンピューティングを利用して、複数の医療機関や関連施設が個人の医療・健康情報を共有する「日本版健康情報活用基盤(日本版EHR)」の大規模な実証実験を東北地方で行う。宮城県の東北大を中心に、同県の石巻や気仙沼などの医療機関に加え、岩手県の施設も参加。ICTを活用した地域医療情報連携基盤を被災地域で整備して、切れ目のない医療提供体制の復興を目指す。2011年度第3次補正予算で予算要求する構えだ。森田高総務大臣政務官が、本紙のインタビューで明らかにした。

 EHRは、個人や医療機関、行政機関などが保有する電子化された医療・健康情報を、ICTネットワークを通じて共有、連携、蓄積する仕組み。診療・調剤・健診情報などを共有することで、過去の診療内容に基づいた継続的な医療サービスを異なる医療機関で受けられたり、重複診療・投薬などを回避する。東日本大震災のような災害時でも、医療者が患者の過去の情報を参照できるメリットがある。

 総務省は7月に「日本版EHR事業推進委員会」の初会合を開き、広域共同利用型EHRの構築に向けて検討を開始した。香川県高松市、広島県尾道市、島根県出雲市を中心とした全国3地域で実証実験を行うことになっており、3次補正で、被災地域の東北地方を実証実験に加える。

 東北地方の公的病院を建て直す際に、ゲノム医療などに対応できる最先端の医療機関として再構築を図る「東北メディカル・メガバンク」構想と連携して進める方針で、被災地域の中核病院、診療所、介護施設、薬局、自治体など各機関が保有する医療情報を共有する。実施地域は、宮城県の石巻医療圏と気仙沼医療圏のほか、岩手県沿岸部の3地域を想定。福島県の医療圏については、原発事故の問題から現状では難しいという。(8/16MEDIFAXより)

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