被災地で地域包括ケア体制を整備/復興構想会議が提言
政府の「東日本大震災復興構想会議」(議長=五百旗頭真・防衛大学校長)は6月25日、被災市町村の復興に当たり、医療、介護、福祉などが一体的に提供される地域包括ケアの体制整備を行うことを盛り込んだ「復興への提言」をまとめた。
提言では医療サービスについて、被災地が医師不足に悩む地域であることを考慮し「医療機能の集約・連携を推し進めるべき」と指摘。今後の危機管理のため、カルテなど診療情報の共有化を進めることも求めた。また、医療や介護分野は雇用創出力が高く、復興に向かう地域の基幹産業の一つに位置付けられると言及している。
大学病院を核とする医師や、高度医療を担う人材育成のための教育体制整備も進める。こうした被災地での取り組みを、少子高齢化社会のモデルに位置付けるとともに、被災地以外でも地域包括ケアモデルに転換するのが望ましいと提唱した。地元企業と連携して創薬や橋渡し研究を行い、新たな医療産業の創出にも努める。
原発事故に見舞われている福島県では、放射性物質汚染が健康に与える影響を長期的に調査し、今後の医療の在り方を検討する。その上で、長期的な健康管理や、最先端の研究・医療を行う施設を福島県に整備すべきとした。福島県に医療産業を集積することも記載。世界をリードする医薬品などの研究開発、製造拠点をつくるため、特区を活用する。特区では産学連携で先端的な医療機関を整備するほか、最先端の医薬品・医療機器の研究開発を手掛ける。
復興財源に関しては、歳出の見直しとともに、臨時増税措置として所得税などの「基幹税を中心に多角的な検討を速やかに行う」と明記した。(6/28MEDIFAXより)