薬害肝炎患者、肝硬変への進行は少数/厚労省研究班
フィブリノゲン製剤や血液凝固因子製剤の投与を受けてC型肝炎ウイルスに感染した人のうち、肝硬変や肝がんまで進行している人は少数にとどまっていることが4月17日、厚生労働省研究班の調査で分かった。製剤を投与されてC型肝炎ウイルス感染が判明している患者の病態は初期段階にとどまっている例が多く、研究班は「インターフェロンなどの抗ウイルス療法などによって、C型肝炎ウイルス持続感染状態からの脱却や、肝病期の進展抑止が十分可能と考えられる」としている。
調査は、2007年度に続いて2回目。厚労省の調査で、フィブリノゲン製剤の投与が確認された医療機関741施設に、投与経路や患者の状況などを尋ね、530施設(患者数8799人)から回答を得た。08年度は、血液凝固因子製剤の投与が行われた190施設も対象とした同様の調査も実施。66施設(同862人)が回答した。
調査結果によると、死亡が確認されたのはフィブリノゲン製剤で27.6%、血液凝固因子製剤で65.7%。このうち、死因が肝炎関連とされた人はそれぞれ5.3%、19.1%にとどまった。
全患者のうち、C型肝炎ウイルスに感染している人はフィブリノゲン製剤で11.3%、血液凝固因子製剤で9.6%、B型肝炎ウイルスに感染している人はそれぞれ0.6%と1.4%。いずれも感染していない人がそれぞれ16.2%、12.2%いた一方、不明とした人はいずれも6割以上に上った。
研究班はこの調査を基に、C型肝炎ウイルスの感染が判明した患者(フィブリノゲン製剤800人、血液凝固因子製剤63人)を対象に、より詳しい調査を実施。現在の病状などを聞いた。
現在の病状が把握できた人のうち、肝炎が治ったと回答した人は、それぞれ14.4%と6.9%。無症候性キャリアは14.7%と24.1%、慢性肝炎は43.4%と34.5%で病態が初期段階にとどまっている人が多かった一方、肝硬変や肝がんまで進行している人はそれぞれ15.6%と6.9%だった。
こうした調査結果について研究班は「C型肝炎の自然経過をたどっている人は現時点では少ない」と分析。C型肝炎の病態は初期段階にとどまっている例が多いと指摘し、「今からでも遅くないので、インターフェロン治療を行いウイルスを駆逐することが、問題を解決する手だて」としている。(4/20MEDIFAXより)