若年性認知症、約4割が「介護保険サービス利用なし」/東京都調査
東京都が10月16日に発表した「若年性認知症生活実態調査」によると、アルツハイマー病やピック病を65歳未満に発症した若年性認知症患者の38.3%が、介護保険制度によるサービス・支援を利用していないことが分かった。障害者自立支援法によるサービス・支援は「利用していない」が91.5%に上り、うち「サービスを知らなかった」との回答は5割を超えた。東京都は「要介護度や認知症の進行度によって介護サービスの利用状況は違う。きめ細かい対応が必要」としている。
調査は2008年2月下旬−3月に、都内在住の若年性認知症患者とその家族に実施。同意を得た50世帯に訪問調査を行い、47世帯から回答を得た。患者は男性が51.1% (24人)、女性が48.9% (23人)。年齢構成は60代(61.7%) が最も多く、50代(31.9%)、70歳以上(4.3%)、40代(2.1%) の順で、平均年齢は61.6歳だった。「認知症ではないか」と周囲が気づいた年齢は「50代」が68.1%を占めた。
介護保険サービスを利用していた患者は28人で、サービス別に見ると「通所介護(デイサービス)」38.3%、「訪問介護」23.4%、「短期入所生活介護(福祉系ショートステイ)」21.3%、「認知症対応型通所介護」8.5%などだった。利用者の要介護度別では、「要介護5」32.1% (9人) が最も多かった。
サービスを利用していないとした18人(38.3%)に理由を聞いたところ、「知らなかった」と回答したのは2人(11.1%) だった。
一方、障害者自立支援法によるサービスは91.5%(43人) が利用しておらず、うち55.8% (24人) が「(サービス内容を) 知らなかった」と回答するなど、障害者自立支援法のサービスの認知度が低いことが分かった。
このほか、患者の現在の就業状況を聞いたところ、「働いていない」が87.2% (41人) を占めた。うち75.6%は若年性認知症になる前は就業しており、認知症になったことで退職しているケースが多いことが分かった。東京都は「若年性認知症患者は働き盛りの人が多いので、就労支援を行う必要がある」としている。(10/23MEDIFAXより)