舛添私案に知事ら反発/国保再編なら負担増と  PDF

舛添私案に知事ら反発/国保再編なら負担増と

 舛添要一厚生労働相が9月に打ち出した後期高齢者医療制度の見直し私案に対し、県知事らが反発を強めている。私案は、市町村単位で運営している国民健康保険(国保) を都道府県単位に再編し、後期医療と一体運営するという内容で、知事らは事務、財政負担が増えることを警戒。舛添氏と与野党の国会での議論もかみ合わ
ず、見直し作業は難航必至だ。

 「検討には地方の代表を参加させるなど十分協議を行い、地方に負担を転嫁することのないようにすること」。10府県知事が参加する近畿ブロック知事会が11月6日にまとめた緊急提言には、舛添氏をけん制する文言が並んだ。

 私案には国保の運営規模を大きくして財政基盤を強化する狙いがある。だが「県の事務量がものすごく増える」(東国原英夫宮崎県知事) と予想され、国保の財政状況が厳しいことも都道府県側をちゅうちょさせている。「医療制度は全国一律にやらなくていいのか」(橋下徹大阪府知事) との疑問も投げ掛けられている。

 舛添氏は、塩川正十郎・元財務相を座長とする直属の検討会を9月に設置。1年かけて具体的な見直し策を練る考えだが、委員には地方自治体関係者が1人もおらず、現時点では知事らの意見聴取も予定されていない。

 「短絡的」(堂本暁子千葉県知事) 「遺憾だ」(井戸敏三兵庫県知事)。多くの知事が記者会見などで私案を批判。「地方自治体を巻き込んだ制度改革なのに、まったく相談がない」(松沢成文神奈川県知事)ことへのいら立ちが不満に拍車を掛けているようだ。
 ある閣僚経験者は「知事の理解なしで見直しを進めるのは不可能だ。最初にやるべきことは知事と粘り強く話し合うことだ」と指摘した。

 舛添氏は身内の自民党を敵視。10日に発売された月刊誌で「わたしの提言を受け入れなかったら、自民党政権は終わる」と力説したが、私案への理解を深めるための党内根回しはほとんどしていない。衆院厚労委の審議を聴いた自民党厚労族議員の1人は「閣僚が『ただの私案』を長々と国会で説明するなんて前代未聞だ」と吐き捨てるように話した。【共同】(11/28MEDIFAXより)

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