自由詩コーナー
谷口 謙 選
星座図鑑(66) とも座
m.
今日は釣れたぞ
こんなにたくさん
さあ 今日はもう帰るか
確かに今日は波が荒い
ま、大丈夫だ
ほら もう岸だ…
背後に
白昼だから見えない
巨大な星の船が
守ってくれていたことを
知らない
精霊
加藤善郎
目指して走る子どもたち
負けずに走った遠い花火
やっと聞こえてきた弾ける音
汀にはゆらゆら揺れる精霊の灯
いつまでもたゆとうている精霊の舟
空に開いた万華鏡は次々降りて
八方に散り拡げられる花束
やがて消え去るそれらの光に
映えてはうつろう舟々の灯
その中に浮かぶ顔 覗く顔
なーんだ みんな昔の友だち
天という処に帰ってゆくのね
宵
門林岩雄
とおくから
風にのり
とぎれとぎれに
母の声
石仏
いいたいことを
ぐっとこらえ
とぼけた顔の
いしぼとけ
風雪にたえ
口も目もゆがみ
なおたじろがぬ
いしぼとけ
「詩とはなにか/それは単純で解決のない問いだ/この問いが/ひたすら垂直に地芯まで下りて行かんことを」(有田忠郎)
最近投稿の方が三人に決まってしまいました。公費の同人誌のようになって淋しく思います。選者の無能を思うのですが、どうか一人でも二人でも投稿されますよう、切に切にお願い申し上げます。
<応募要領>◇字数:原稿用紙1〜1枚半◇未発表のもの。応募作品は返却しません◇住所、氏名、電話番号明記。ただし作品はペンネームで結構です◇送り先:協会保険医新聞担当◇毎月20日締切◇第1席入選者には図書カード贈呈◇作品の発表にあたり選者が添削する場合があります。あらかじめご了承下さい。
【京都保険医新聞第2656号_2008年9月15日_3面】