自由詩コーナー/谷口 謙 選
絶滅動物図鑑(一)ドードー
門林岩雄
ふとった鳥
とべない鳥
南の島で
のんびり暮らしていたが
やってきた人間に
片っぱしから食べられた
ドードーと
うつろな声をひびかせて
雨上がり
夕日に向かって
歩いて行った
小さな花がゆれていた
水玉さげて
祭り
祭りの日
神々は一軒一軒見て回り
安否を確かめる
夕焼け
加藤善郎
ふる里の山のあの夕焼け
ふる里の海のあの夕焼け
みんなで見ていたね
なぜか泪が滲んだね
夕焼けもままならぬビルの谷間
その中で生きてる私に届いた便り
みーんな逝ってしまったよ‥‥
誰も居ないふる里の夕焼けなんて
むかし 昔 遠い昔
夕焼けの向こうから仏(ほとけ)が来た
みんな あの夕焼けを見に
必ず帰ってくるんだよ
星座図鑑(87)はちぶんぎ座
m.
鳴き砂の浜
夜の闇の中に
船の光が幾つか
月のない日
ああ
何て沢山の星
天の川が天空にうねり
星座が幾つも犇いて
さあ
もう行かねば
僕は一生忘れない
星々の懸命の瞬きを
ありがとう
「わたしたちはみんな果てしなく大きな銀河の小さな小さな星屑のようなもの。たったひとりで宇宙に在って、互いの光を探しながら生きています。たとえ星雲のはるか彼方の光であっても、見知らぬ星の輝きに心躍ることがあるでしょう。それは、人間の世界では『ことば』かもしれません。どこかの遠い星につながることばを探して、書きつづけていこうと思います」(左子真由美)。女性詩人の強い明確な発言です。