自由詩コーナー 谷口謙 選
群れ
加藤善郎
浜木綿(ハマユウ)の白
今が盛りの白
眩しいばかり
おや 群れから離れた
たった一本の‥‥
腹這(ハラバ)いになって
透(ス)かしてみても
ただ可憐なだけ
群れる浜木綿の白は
さすがに海を支えてる
星座図鑑(85)テーブルさん座
m.
頂上マデドウヤッテ
タドリツイタライイノカナ‥
アララ
カゼニノッテ
アララ
モウスコシ‥
この後のことはわかりません
だめでも それはよきこと
いい言葉
門林岩雄
「人は助け助けられる」
こう言った中年の女性、子ども一人連れてインドへ行った
「眠るときはひとり」
女に捨てられた統合失調症の男、同病の男と過ごすことが多い
「ハッピイになる秘訣は?」と聞くと
「いつも笑っていること
気持がふさいだ時こそ 笑顔を作る」
四人の子持ちのレストランで働く女
家
崖下の家に
梅の花 沈丁の香り
自転車から下り
女が入った
輸入民芸品店
馬面(うまづら)の女
出べそ突き出し
手に玉を持つ
「ぼくは将来の大望に圧しつぶされそうになって苦しんでいるが、今夜のような晩は、とくに生の孤立や哀惜を感じて、人が懐かしくなるのだ。こうした人々を思い出すと、自分も他の人も共に無窮の天地に生まれ、最後は無窮の天地に帰るのだという実感がするのだ。そして、名利競争の欲念が消えて、心の平穏と自由を感じるのだ。ぼくはこの題目で存分に書いてみたい。(国木田独歩「忘れえぬ人人」より)
<応募要領>◇字数:原稿用紙1〜1枚半◇未発表のもの。応募作品は返却しません◇住所、氏名、電話番号明記。ただし作品はペンネームで結構です◇送り先:協会保険医新聞担当◇毎月20日締切◇第1席入選者には図書カード贈呈◇作品の発表にあたり選者が添削する場合があります。8月は休載します。