自由詩コーナー 谷口 謙 選

自由詩コーナー 谷口 謙 選

 詫 加藤善郎

山に詫びたい心から詫びたい

枯れてまばらになった山

川に詫びたい心から詫びたい

干からびて小さくなった川

そして海

海は未だ豊穣だろうか

風のたよりでは珊瑚も枯れつつあると

いずれ見られなくなる

あの山川のそして海の

美しかったあの姿

天変にも負けずに

いつも蘇っていた

あのいとなみ

 星座図鑑(77)インディアン座 m.

心臓が収縮し

限界

一気に

飛び散る

星の子どもたち

 島のあるとき 門林岩雄

風鈴に

よびとめられて小半時

 *

光とらえて

アメンボすすむ

 *

醒めた岩

蒼ざめる森

気まぐれな雨

 *

さらりと流し

鯉のぼり浮く

 *

まぼろしの花

まぼろしの人

鳥の声

 水辺

花をうつして

水面<ルビ/みなも>がゆれる

それを見下ろす

昼の月

 「だが神は全てを取りあげはしない。最後の時まで、私たちに残して下さっているものそれは自然だ。自然はいつの場合も私たちの師であり友である。ただぼんやりしていては何の答も見せてはくれない。自分が心して見なくてはいけないし聞かなければいけない。そして自分で答えを見付ける。それが自燈明であり、詩であろう」(下村和子)

 人間に神が最後に残してくれたものは自然である。この言葉をこの三人の詩人は認めて下さるだろう。

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