自由詩コーナー
谷口 謙 選
盆の池
門林岩雄
枯れ葉が一枚
また一枚
池の水面(みなも)に 舞いおりる
緋鯉はつつく
枯れ葉をつつく
亀もしきりに つついてる
赤いかたまり
緋鯉の稚魚だ!
亀の子どもは ただひとり
かれらはここで
一生送る
十坪ばかりの この池で
枯れ葉が一枚
また一枚
彼らの上に 舞いおりる
消光
加藤善郎
陽が昇り雲湧き雨が降る
それらがほどほどに繰返されて
育つのは花と実 凡ての生物
人は判り乍ら ときに怒り
喜び 憂い そして悲しむ
やがてそれらもいつしか霧散
あるのは 徒らに過ぎる消光
ときには輝やかしい未来に憧れる
でも 確かに来る未来は
今 過ぎてゆくこの過去と
なにも渝(かわ)らない消光の日々
星座図鑑(67) とびうお座
m.
うねる波を縫って
右をみても
トビウオ
左をみても
トビウオ
そう
私は
無数の勇気に支えられて
生きている
「小説家を賤しめよ、しかれども詩人を賤しむることなかれ、そはかれは夢みる者にあらずして 闘いて勝つ者なればなり」(内村鑑三)
詩人とは夢を見るものではなくて、闘って勝つ者だと鑑三は言っているのです。私の生活に変化があり、いろいろ迷いましたが、鑑三の言葉に励まされました。皆さん、たとえ一人になってもいただいたこの欄を勝れた作品で埋めましょう。
<応募要領>◇字数:原稿用紙1〜1枚半◇未発表のもの。応募作品は返却しません◇住所、氏名、電話番号明記。ただし作品はペンネームで結構です◇送り先:協会保険医新聞担当◇毎月20日締切◇第1席入選者には図書カード贈呈◇作品の発表にあたり選者が添削する場合があります。あらかじめご了承下さい。