自然増1兆1600億円、一律10%カットで吸収/12年度概算要求
野田佳彦財務相は8月23日、2012年度予算の概算要求に関する暫定的な作業手順書を各省大臣に通知した。概算要求基準の大枠となる位置付けで、1兆1600億円に上る社会保障費の自然増分を確保するため、各省庁に対し、裁量的経費や公共事業費などについて11年度当初予算比で一律10%削減した額を要求するよう求めた。政府は閣議で、例年8月末となっている概算要求の締め切りを9月末にする政令改正を決定。正式な概算要求基準は新内閣発足後の9月中旬に閣議決定することを確認した。
政府は12年度予算の編成に当たり、必要な歳出削減を行うとともに、重点配分すべき分野を選んでめりはりを付ける方針。予算編成は例年通り年内に終わらせる。
●自然増はそのまま容認
作業手順書によると、一律10%カットで1.2兆円の財源を捻出し、自然増分に充てる。医療・年金などの社会保障費は一律削減の対象とせず、前年度当初予算額に自然増を加算した額を要求することを認める。社会保障費の削減は、子ども手当の見直しなどごく一部となる見込みだ。ただ、自然増分や医療に関する経費についても「合理化・効率化に最大限取り組み、その結果を12年度予算に反映させる」と明記した。
概算要求基準には、新内閣の重要施策に沿って予算を重点配分する「特別枠」を前年度同様設ける方針。各省庁は削減額の1.5倍の範囲内で要望できるが、今後、正式に決まる特別枠の金額規模に収めるため絞り込むことになる。厚生労働省は約1000億円分の要望ができる見込み。
東日本大震災からの復旧・復興対策と、B型肝炎ウイルス感染者に対する給付金などの支給に関する経費については必要な金額を要求し、歳出の大枠に別途加算する。歳出の大枠は、国債費などを除いて11年度と同じ71兆円。8月12日に閣議決定した「中期財政フレーム」に基づいている。(8/24MEDIFAXより)