自国憲法凌駕するTPP 撤回求め国会で緊急院内集会
保団連等、医療関連団体が組織する医療団体連絡会議(医団連)が4月4日、国会内でTPP参加撤回を求める緊急院内集会を開催した。開催にあたり保団連からの依頼を受け、垣田副理事長が来賓として登壇し、協定が憲法をも凌駕すると報告した。集会後、垣田副理事長は、関連議員の部屋を訪問し、福山哲郎参院議員(民主)、福島瑞穂参院議員(社民党首)と直接面談した。
報告する垣田氏と内田氏、山田氏
集会は、保団連の住江会長が主催者あいさつ。要請に応じて出席した国会議員、田城郁参院議員(民主)、舟山康江参院議員(みどり)、田村智子参院議員(共産)、福島瑞穂参院議員(社民)も次々に連帯あいさつした。また、桜井宏衆院議員(自民)、三ツ林裕巳衆院議員(自民)も出席。
報告は、垣田副理事長、内田聖子氏(アジア太平洋資料センター事務局長)、山田正彦氏(TPPを考える国民会議副代表・元農林水産大臣)、色平哲郎氏(佐久総合病院・医師)の4氏から行った。
垣田副理事長は、日本が世界一の長寿国になったのは、国民皆保険制度を確立させ、守ってきたことによる。2012年、米国とのFTA発効に至った韓国にも、国民皆保険制度があるが、保険適用される医療の範囲は全体の6割に止まる。それを補う民間保険に入れるかどうかで受けられる医療に格差が生じている。このように韓国でも、FTAがもたらす医療保障への影響が甚大。基本的に必要な医療を保険給付する日本ではより大きな被害が起こりかねない。本当の恐ろしさは、こうした貿易協定がその国の憲法をも乗り越えた効力を持たされること。憲法25条をもってしても防ぎきれない事態が想定される、と指摘した。
内田氏は、米国の市民団体を通じ、第16回のシンガポール交渉に参加。交渉の際、各国の交渉官と意見交換できるステークホルダーの中には、ファイザーなどの米製薬企業や、エーザイ、第一三共、大塚製薬など在米の日本企業が加盟する米国研究製薬工業協会(PhRMA)も入っている。同協会はシンガポール交渉の直前に知的財産権の強化を訴える声明を出している。日米の製薬業界が、TPPを通じてジェネリック医薬品の生産を牽制し、利益の拡大を狙っていると指摘した。
山田氏はTPPは韓米FTAを上回る協定を目指している。日本の国民皆保険が、自由化の進展を遅れさせ、海外の企業に不利益を生じさせた場合、ISD条項で提訴される危険性があると警鐘を鳴らした。
色平氏は、米政府の通商交渉に関する権限という観点から問題提起。米国では、通商権限は議会にある。つまりオバマ政権や通商代表部にはTPPを推進する権限がない。上・下院が貿易推進権限(TPA)を政府に委任しなければ交渉はご破算になるとして交渉手続きに関する矛盾を指摘した。
面談した福山議員(左)、福島議員(右)