臨床研修制度の評価、大学病院と研修病院で差/厚労省調査
厚生労働省は12月17日の「臨床研修制度のあり方等に関する検討会」に、臨床研修に関するアンケート調査結果(12月5日到着分) を報告した。新制度の導入によって初期研修修了後の医師の診療能力が高くなったとした指導医は、大学病院は26.4%だった一方、臨床研修病院は45.7%に上った。研修病院の病院長は約7割が「高くなった」と回答しており、大学病院と研修病院で、臨床研修制度に対する評価に大きな差があることが分かった。
調査は全国医学部長病院長会議と臨床研修協議会が共同で実施。医学部6年生、初期臨床研修医、初期研修修了医、指導医を対象に、5日までに80大学、80臨床研修病院から得られた1万1800人分の回答を集計した。5日以降に到着した138人分は今後集計予定。
初期研修を修了した医師の総合的な診療能力を聞いたところ、大学病院の院長の21.7%が「(以前より) 高くなった」「どちらかといえば高くなった」と回答した一方、同じ回答をした研修病院の病院長は67.1%に上った。
「低くなった」「どちらかといえば低くなった」と回答した割合は、大学病院の指導医が31.9%、研修病院の指導医が14.6%で、大学病院の指導医の回答は「低くなった」が「高くなった」よりも上回っていた。
医師の計画配置を「反対」としたのは大学病院の院長の50.0%、研修病院の院長の30.1%で、いずれも「賛成」を大きく上回った。
医学生に将来従事したい診療科や基礎系の分野を聞いたところ、内科が14.4%、外科が4.6%、消化器外科が3.6%などだった。医師不足が指摘される診療科では小児科が11.2%、産婦人科と産科、婦人科を合わせて6.4%で、小児科は内科に次いで希望が多かった。厚労省は「産婦人科は(2006年調査に基づく) 現在の30代医師の割合とほぼ同じで、小児科はそれよりも約2倍の希望がある」と説明した。
医師不足といわれる診療科を選択するかどうかについては、医学生の66.6%が「条件が合えば選択したい」と回答。医師不足の診療科に従事する条件は「給与・処遇がよい」が63.7%で最も多く、次いで「十分な事前研修が受けられる」の49.0%、「訴訟が少ない」の42.4%、「自由になる時間が多い」の39.9%だった。(12/18MEDIFAXより)