肺炎球菌ワクチンの公費助成を 京都胸部医会会長と連名で 府内自治体に要請  PDF

肺炎球菌ワクチンの公費助成を 京都胸部医会会長と連名で 府内自治体に要請

 協会は、京都胸部医会の川合満会長と協会理事長の連名にて、「高齢者に対する肺炎球菌ワクチンの公費助成を求める陳情書」を、9月26日に京都府および京都市に提出、27日にはその他25自治体に送付した。

 成人用肺炎球菌ワクチンは、全国において接種費用の公費助成を行う自治体が増えており、2011年5月1日の時点で44都道府県439自治体となっている。しかし、陳情書送付時点で、残念ながら京都府内においては、1自治体も肺炎球菌ワクチンへの公費助成を行っていなかった。

 この事態を受け、協会は、医師の団体として、一人でも多くの高齢者を肺炎から守るために、自治体から国に対し、成人用肺炎球菌ワクチンの助成制度創設を求めるよう要望。また、併せて国の助成制度が確立するまでの間、自治体において成人用肺炎球菌ワクチンの接種費用を助成するよう要望した。
和束町が府内初助成

 成人用肺炎球菌ワクチンの接種について府内自治体で初の助成が和束町において実施されることになった。10月6日に公表された内容は、2011年4月1日以降に接種したものに遡って、満70歳以上を対象に1人1回のみ4000円を償還により助成する。接種医療機関は町内外を問わない。

川合 満京都胸部医会会長にきく

 今回の自治体へのワクチン助成要請に関して、京都胸部医会の川合満会長を垣田副理事長らが10月14日に訪問し、その思いを伺った。

川合 満 京都胸部医会会長
川合 満 京都胸部医会会長

 23価肺炎球菌ワクチンはかなり有効で、80%以上の肺炎球菌莢膜に対する抗体ができるとされています。結局、高齢になればなるほど免疫力は落ちます。耐性菌で薬効が認められない場合に備えて、日頃からの予防は大変重要です。

 すでに肺炎球菌を起炎菌とする肺炎に罹った後でも、肺炎球菌は90種類以上存在しており、別の肺炎球菌に感染するリスクもあります。そういったリスクに備えて、ワクチンは接種したほうが望ましいと考えています。

 また、免疫力を高めることと併せて、口腔ケアも非常に大切です。感染症を引き起こす最大の原因は口腔内の細菌です。起床後すぐの歯みがき等、口腔ケアをすることが予防につながります。

 高齢者の死亡の最大の原因は、肺炎です。成人用肺炎球菌ワクチンで、多くの肺炎が予防できれば、結果、医療費の削減にもなります。

 現在、ワクチンを接種される方の人数は増加傾向にありますし、呼吸器科にかかっておられる患者さんは、ほとんどワクチン接種をされていると思いますが、今回の自治体への陳情で公費助成制度が設置されれば、さらに多くの患者さんに対して、ワクチン接種の機会が増えます。

 少しずつでも京都府内の自治体で公費助成が行われれば、と希望しています。

ページの先頭へ