肩代わり法案の成立困難で「診療所だけ痛手」/日医「5分ルール」撤廃で攻勢  PDF

肩代わり法案の成立困難で「診療所だけ痛手」/
日医「5分ルール」撤廃で攻勢

 日本医師会の藤原淳常任理事は11月15日、中部医師会連合委員総会の社会保険特別委員会で、旧政管健保(現・協会けんぽ) に対する2008年度の国庫負担削減のため、健保組合などから08年度単年度で約1000億円の負担を求める特例法案が成立しない見通しとなったことを受け、「(08年度診療報酬改定に向けた中医協の議論で) 支払い側が主張していた『互いに痛みを分かち合う』という理屈が通らなくなった」と述べ、診療側が「痛み」として受け入れた外来管理加算への「5分ルール」導入の白紙撤回を求める考えを示した。その上で「今度の中医協で、このことを取り上げていかなけ
ればならない」と述べた。

 特例法案は、08年度予算で社会保障費の自然増を2200億円抑制するための具体策の1つとして、政管健保に対する国庫負担約1000億円の「肩代わり」を健保組合などに求める内容。ただ今臨時国会で成立するめどが立たず、与党関係者などによると補正予算で対応する可能性が濃厚となっている。

 08年度診療報酬改定では、病院の負担軽減を目的に診療所から400億円強の財源が移転されたが、その際の中医協での議論で支払い側は「病院の疲弊を救うため、健保組合も支援金を拠出することを承諾した。診療所も痛みを分かち合うべきだ」との主張を展開。診療所の再診料引き下げが最大の焦点となった。しかし、診療側が強く反対したため、最終的に外来管理加算に時間要件(5分ルール) を導入することで決着した。

 藤原常任理事は15日の中部医連の特別委員会で「中医協で支払い側は、『外来管理加算については十分に議論した』とか、『5分要件を撤廃しろと言うなら、再診料の議論に逆戻りだ』とか言ってくる。しかし、特例法案が成立しなければ、診療所だけが痛手を受ける形になる」と述べ、「支払い側の言い分は通らない状況になりつつある」と指摘した。

 また、日医が実施した緊急レセプト調査(4−6月分) から、外来管理加算の見直しによる影響額は805億円と推計されると説明。このデータとともに、現在、実施している外来管理加算の算定に関するアンケート調査の結果を中医協に提出するとした。

 藤原常任理事は「調査データを基に、外来管理加算について協議するところまでは取り付けている」とした。(11/18MEDIFAXより)

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