総合経済対策、医療対策に4000億円/政府
政府は8月29日、総合的な景気対策のほか医療に対する国民不安の解消を図ることを目的とした「安心実現のための緊急総合対策」を発表した。必要な事業費は11.5兆円になる見込み。このうち早急に実施すべき施策に必要な国の支出は1.8兆円で、補正予算で対応する。医療や介護の強化対策などを盛り込んだ「生活者の不安の解消」には4000億円を充てた。
緊急総合対策は(1)生活者の不安の解消、(2) 「持続可能社会」への変革加速、(3)新価格体系への移行と成長力強化―の3つの目標を掲げている。生活者の不安を解消するための施策としては、医療・年金・介護強化対策をはじめ、生活・雇用支援対策、子育て・教育支援が盛り込まれた。
医療・年金・介護強化対策のうち医療分野については、医師養成数の増加のほか、抗インフルエンザ薬やワクチンの備蓄を柱とした新型インフルエンザ対策の強化を挙げた。後期高齢者医療制度(長寿医療制度) については、低所得者向けの保険料軽減を明記。被保険者の被扶養者の保険料負担軽減措置(9割軽減) を2009年度も継続することを記載した。介護分野については、人材の確保・定着の促進、雇用管理の改善や地域包括支援センターによる認知症支援の強化を明記した。
このほか、「革新的技術戦略」や「先端医療開発特区(スーパー特区)」に基づいたiPS細胞再生医療研究など、国際競争力向上に直結する技術開発の促進を「『持続可能社会』への変革加速」として盛り込んだ。
緊急総合対策に必要な財源は、これまで以上に歳出経費を削減して工面する方針で、「『基本方針06』に掲げられた財政健全化の取り組みを堅持する」と記載。また、持続可能な社会保障制度の構築に必要な財源を確保する必要があるとした。(9/1MEDIFAXより)