総合入院体制加算の緩和など453項目/全自病、次期改定への要望  PDF

総合入院体制加算の緩和など453項目/全自病、次期改定への要望

 全国自治体病院協議会の邉見公雄会長は6月9日、全自病の常務理事会後の会見で、2012年度診療報酬改定に向けて、改正・新設で453項目の要望をまとめたことを明らかにした。総合入院体制加算の要件緩和を盛り込んだほか、10年度改定と比較して項目数は全体で1割ほど増え、リハビリテーションに関しては30項目と前回改定に比べ2倍となった。邉見会長は「次期改定への期待は大きい。中小病院は前回の改定でほとんど恩恵がなく、次は自分の番だと思って指をくわえて待っている」とした上で、12年度改定は「粛々と行いたい」とした。

 会見で改正・新設項目での焦点を問われた邉見会長は、総合入院体制加算を挙げ「加算が取りにくく、算定は全国で170程度。茨城のような大きな県でも算定している病院はなく空白の県もある。算定している病院のない2次医療圏も多い」と指摘。算定要件の緩和を盛り込んだとした。

 栄養サポートチーム加算については「要件の専従を専任にしていただきたい。中小病院ではやっていけない」と主張。同加算について中島豊爾副会長は「精神科は除外されている」とし「(他の)著しく合理性を欠く精神科排除項目について全部なくしたい」と強調した。

●1.53%の返還は「財務省の思うつぼ」
 消費税について邉見会長は、非課税となっている社会保険診療報酬についてゼロ税率の課税を求めていくことで一致したとした。四病院団体協議会が、過去の診療報酬改定で上乗せされた合計1.53%の改定率を「国へ返す必要がある」としていることについては、「四病協の理論を実行すれば財務省の思うつぼ」とし、中川正久副会長は「医療への非課税を課税に変えるのは、消費税が上がるときがチャンス」とした。

●臨床研修「2年に戻すべき」
 また、邉見会長は、日本医師会が1月に示した医学教育改革案(4月に修正第2版)で、初期臨床研修の1年目にプライマリーケア能力の獲得に一定のめどを付けることを目指すとした点について「医師不足と卒後臨床研修を短絡的に結び付けるからややこしくなる」と批判した。国が10年度からの制度見直しで必修科目を7科目から3科目に絞り、2年目から専門の診療科で研修できるようにしたことについても「元に戻すくらいがよい。2年間びっしり(研修を)やらないと総合医は育たない」と述べた。

 末永裕之参与は、2年間で基本的診療能力を修得することを目指して必修化した当初の初期臨床研修制度の理念を評価し「いろいろな患者を診ることができる医師が育っているはずだ」として、検証もなく制度を見直したり、見直そうとする動きには問題があるとの考えを示した。日医案についても「限りなく1年でよいというような研修スタイルで、促成栽培的だ」とし、「日医が何を目的としているのかが分からない」と述べた。(6/10MEDIFAXより)

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