経済危機の影響、皆保険の国では最小限に/日医・石井常任理事  PDF

経済危機の影響、皆保険の国では最小限に/日医・石井常任理事

 日本医師会の石井正三常任理事は12月3日、11月5−7日にバリ島で開かれた第26回アジア大洋州医師会連合(CMAAO)総会について語った。世界的経済危機が医療に及ぼした被害は、国民皆保険制度を実施する国では最小限に抑えられていたことが、「医療制度に対する経済危機の影響」をテーマに取り上げたシンポジウムなどで明らかになったと指摘。石井常任理事は「日本の国民皆保険制度は、経済危機などから国民の健康を守るという、国の社会保障を確保するための重要なカギになる」と述べた。

 石井常任理事によると、フィリピンなどでは、世界的経済危機が医療を直撃し、6000人もの医師らが国外に流出するなど、国内の医療現場が大きく混乱したとの報告があった。一方、確固とした国民皆保険制度を持っている韓国、台湾では、医療制度への影響は最小限に抑えられていたという。

 石井常任理事は「日本国内でも受診抑制の傾向などは見られたが、国民皆保険制度を基盤とするセーフティーネットにより、職域保険を失った人が医療機関で受診できなくなることはなかった」と指摘した。その上で「政府の税収が減ったことは事実だが、制度としては被害がない。国民の健康被害は最小限だった」と話し、国民皆保険制度の必要性を強調した。(12/4MEDIFAXより)

ページの先頭へ