精神療養病棟もADL区分で評価/次期改定、厚労省が論点
厚生労働省は11月11日の中医協・診療報酬基本問題小委員会で、次期診療報酬改定に向けた認知症対策に関する論点として、精神療養病棟での認知症患者に対するADL区分に応じた評価の在り方について議論を求めた。診療側からは医療区分やADL区分による評価は難しいとの声が上がったが、支払い側からは区分を明確にした上で評価すべきとの意見が出された。
厚労省は、療養病棟では医療区分とADL区分に応じて評価している一方で、精神療養病棟では病態にかかわらず一定の評価になっていると説明。厚労省保険局医療課の佐藤敏信課長は「高齢者に対する通常のADLへの支援だけでなく、認知症患者では周辺症状に対する見守りなど、より手間のかかる部分を評価してほしいという指摘があると理解している」と述べた。
これに対し、安達秀樹委員(京都府医師会副会長)は認知症患者のADL区分は変動が大きく、固定的な評価は難しいと指摘し、診療所との連携など地域の受け入れ体制整備の必要性を強調した。嘉山孝正委員(山形大医学部長)も「区分は重なることが多い。地域の中小病院を手厚くしないと患者を受け入れることができなくなる」と地域の2次医療機関を評価すべきとした。
一方、白川修二委員(健康保険組合連合会常務理事)は区分の難しさに理解を示しながらも、「区分をしっかりとして、医療の必要なところを手厚くすべき」と主張。「症状区分による調査などが必要」と実態の把握を求めた。
厚労省はこのほかの論点として、介護保険との連携による退院支援や、専門医療機関と地域のかかりつけ医による連携などによる外来医療提供も挙げた。(11/12MEDIFAXより)