管理栄養士配置に係るアンケート集計結果(2012・6・21)  PDF

管理栄養士配置に係るアンケート集計結果(2012・6・21)

  • 実施期間:2012年5月17日〜6月21日
  • 対  象:京都府内の200床未満病院及び有床診療所(250医療機関)
  • 回  答:79医療機関(病院:54、有床診療所25)
  • 回収率:32%
  • 方  法:質問票によるアンケート調査(質問票を郵送で送付し、郵送又はファクスにて回収)

1.はじめに

 2012年4月の診療報酬改定において、「栄養管理」実施が、入院料を算定するための要件とされ、管理栄養士の配置が義務付けられたことから、協会では、中小規模の入院医療機関における管理栄養士配置の状況や、管理栄養士配置の必要性について把握するためのアンケート調査を行った。

2.回答を寄せた医療機関

(1)医療機関の形態

 回答は病院が約7割を占めた。有床診療所は25あったが、休床中の有床診療所が5あった。当該5医療機関については、以下の集計から除外した。

(2)医療機関の病床数

 病床規模別に見ると、61床以上200床未満の病院が40(54%)、20床以上60床以下の病院が14(19%)、19床以下(有床診療所)が20(27%)であった(基本診療料の施設基準等に係る通知において、1病棟当たりの病床数は「原則として60床以下を標準」とされていることから、集計において区切りを設けた)。

3.主たる診療科は、規模によりばらつき

 主たる入院の診療科は、全体では「内科」が31(42%)と最も多く、「産婦人科」が14(19%)であった。以下、「眼科」「小児科」「整形外科」が3(4%)で続いた。

 病床規模別に見ると、61床以上の病院では、「内科」が最も多く23(58%)と、半数以上を占めた。60床以下の病院でも「内科」が7(50%)と最も多かったが、「産婦人科」も2(14%)あった。有床診療所では、「内科」は1(5%)のみで、「産婦人科」が12(60%)と最も多かった。「眼科」も3(15%)あった。(図1)

4.有床診での管理栄養士配置は少ない

 全体では、「常勤2人以上配置」が20(27%)、「常勤1人配置」が33(45%)、「非常勤配置」が4(5%)であった。非常勤も含めて「配置なし」が17(23%)であった。

 病床規模別に見ると、61床以上の病院では、すべての医療機関で常勤が1人以上配置されていたが、60床以下の病院では、「常勤2人以上配置」はなく、「常勤1人配置」が多かった(12(86%))。「配置なし」も2(14%)あった。有床診療所では、「常勤配置」は1(5%)のみ、「非常勤配置」も4(20%)に留まり、「配置なし」が15(75%)と最も多かった。(図2)

5.規模が小さくなれば栄養管理が必要な患者割合は減る

 栄養管理が必要な患者割合は、全体では半分程度との回答が20(27%)と最も多かったが、回答にはばらつきが見られた。

 病床規模別に見ると、61床以上200床未満の病院では、「半分程度」から「ほぼ全て」まで、ばらつきはあるが、かなりの割合で栄養管理が必要な患者がいる結果となった。60床以下の病院では、「半分程度」との回答が8(57%)と最も多く、「あまりいない」との回答も2(14%)あった。有床診療所では、「全くいない」と「あまりいない」が、それぞれ10(50%)ずつであった。(図3)

6.規模が小さくなれば「医師により可能」との意見が多数

 「栄養管理」業務実施にあたって、管理栄養士が必要かどうかを尋ねたところ、全体では、「いないとできない」との回答が最も多く45(61%)であった。

 病床規模別で見ると、61床以上の病院では、「いないとできない」という回答が37(93%)と大多数を占めた。60床以下の病院では「いないとできない」との回答が8(57%)あったが、「医師でもできる」という回答も6(43%)あった。有床診療所では、「医師でもできる」という回答が10(50%)あり、「全く不要」との回答も9(45%)あった。(図4)

7.管理栄養士配置は必要に応じてでよい

 入院医療機関において管理栄養士を配置することについて、どのように考えるかを尋ねたところ、全体では「必要に応じて配置」との回答が49(66%)と最も多かった。

 病床規模別に見ると、61床以上の病院では、「当然配置すべき」と「必要に応じて配置」とが、それぞれ20(50%)であった。60床以下の病院では、「必要に応じて配置」が10(71%)と最も多く、有床診療所にあっては、19(95%)が「必要に応じて配置」と回答した。(図5)

8.義務化継続でやめることを考慮する有床診が40%に

 管理栄養士配置が義務化されたままの場合に、入院医療を継続する意思があるかどうかを尋ねたところ、「継続する」意志を示した医療機関が64(87%)と多かったが、「やめることを考慮する」とした有床診療所が8あり、全体の11%、有床診療所の実に40%に上った。(図6)

9.結果

 主な入院診療科は、全体では内科が多いが、病床規模が小さくなればなるほど、産婦人科等他の診療科が主な入院診療科に占める割合が多くなった。有床診療所においては、産婦人科が最も多かった。

 管理栄養士の配置状況は、病床規模が小さくなるに従い、少なくなる傾向となった。60床以下の病院では、常勤2人以上を配置しているところはなく、有床診療所においては、まったく配置のないところが4分の3を占めた。

 栄養管理が必要な患者の割合は、医療機関によりばらつきが見られたが、病床規模が小さくなればなるほど、割合が小さくなる傾向が見られた。

 病床の規模が大きくなればなるほど、患者の栄養管理実施にあたって管理栄養士を必要としており、管理栄養士を配置すべきと考える傾向が見られた。一方、病床規模が小さくなればなるほど、栄養管理は医師により行えばよく、管理栄養士は必要に応じて配置すればよいという意見が占める割合が大きくなった。

 また、管理栄養士配置の義務化が継続されるならば、入院医療をやめることを考慮するとした有床診療所が8件あり、憂慮される。

アンケート集計結果の図1〜9

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