第67回定期総会質疑応答の要旨
■非営利ホールディングカンパニー型法人について
田代博代議員(右京) 非営利ホールディングカンパニー型法人とは、どういったものか。
渡邉賢治副理事長 地域完結型医療の中にこの非営利ホールディングカンパニー型法人は位置づけられている。病院や診療所、介護サービス事業所などをホールディングカンパニーの傘下におさめ、地域の中の医療と介護全てを補っていく構想。この構想で、経営や医療提供の効率化を進めるものと思われる。
鈴木卓副理事長 医療法人と社会福祉法人を持ち株会社にして一つにまとめるような構想が、医療・介護総合確保法で決められており、国はその具体的内容を検討している段階だ。現段階の検討は、各子会社(病院等)の発言・決定権をどう保障するかというもの。経済同好会は、営利会社参入を強硬に主張し、成長産業の目玉にしようとしている。
提案の中では三つの類型があり、一つは大学病院など中核病院を中心としたもの。一つは、地方自治体を中心としたもの。そして、都道府県・郡市区医師会を中心としたもの。法人内で資金や人員の融通をきかせ、更には患者の施設間移動の合理化を図ろうとしている。
■総合診療専門医について
山本昭郎代議員(下京西部) 総合診療専門医、あるいはかかりつけ医に対して協会はどのようなスタンスなのか。
渡邉副理事長 協会では、現在総合診療医に対する見解をまとめる作業を行っている。すでに地域で診療を行っている開業医が、提唱されている総合診療専門医の役割を担ってきており、なぜ新たな専門医を創設する必要があるのか。国の狙いは何なのかを見定め、検討していく必要がある。
山本代議員 本当に総合診療専門医は必要なのか。私たちはどう意思表示をしていくべきなのかをお聞きしたい。
垣田さち子理事長 この問題には、開業医に対する厳しい国民の意見も含まれており、一方で病院などでは患者を多角的に診ることのできる医師がほしいという声も聞かれる。国としても高齢社会を突き進む日本で、広く浅く専門科をまたいで診療ができる医師を養成したいという思いが根底にはあるのだろう。
そうした思いは理解できるが、ではなぜ新専門医制度として、しかも2017年から開始などと早急に進めているのか。各科に所属し、研究に携わり、深い目を持った医師が世界の医療レベルまで追いかけながら開業医として診療を行っているのが日本の医療のすぐれた点である。
国には医療提供体制の効率化、医療費削減の狙いはもちろんあるはずなので、問題点を指摘しながら今後も議論を重ねていき、協会としての見解をまとめたいと考えている。
■決議について
田代代議員 多くの人に協会の方針を知ってもらうという点で、決議に賛同する。ただ、「原発事故に対する長期で最大限の対策を国に求めるとともに」という文章だけが、主語が我々になっている。他の文章との整合性を考え、「「原発事故に対する長期で最大限の対策を実行するとともに、原発に依存したエネルギー政策を根本的に転換すること」にしたほうがいいのではないか。
飯田哲夫理事 明確な文章となるので、ご指摘のとおり変更したい。
■その他
木村敏之名誉理事長今、福島の原発問題などから、新たにまた核に対する注目が必要だと考え、核戦争防止・核兵器廃絶を訴える京都医師の会で、『医師たちのヒロシマ』の復刻を発刊する予定である。ぜひともご一読いただきたいと考え、ご案内したい。