第66回定期総会(第185回定時代議員会合併) 決議  PDF

第66回定期総会(第185回定時代議員会合併) 決議

 構造改革(新自由主義改革)の再起動という財界の期待を担って安倍内閣が登場し、「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」に続く「アベノミクス」第三の矢「成長戦略」が、骨太の方針とともに示された。安倍首相が「世界で一番企業が活動しやすい国」にするとあからさまに語ったように、「成長戦略」は経済界の要望に沿った一部の大企業利益を最優先するものであり、働く人や生活者を置き去りにした国民不在の政策に他ならない。そうした新自由主義による政策であれば、TPP(環太平洋経済連携協定)参加、原発再稼動と海外売り込み、消費税増税が推し進められることもまた必然のことである。こうした新自由主義のもと、構造改革をさらに行いやすく、加速度をつけるために、復古主義、軍事大国化もからめ改憲が行われようとしている。

 「成長戦略」には、その柱に医療を位置づけ、医療ツーリズムや医療提供体制の輸出、混合診療の全面解禁と民間医療保険の参入促進など、医療の産業化を図ろうとしている。営利追求分野を広げて資金をつぎ込み、公的医療給付を縮小してしまえば、国民皆保険が形骸化し、医療・健康において深刻な格差が広がりかねない。TPPという外圧がその後押しをすることになる。ましてや国民皆保険の堅持さえ言明しない社会保障制度改革推進法を基本法とする改革が、これから具体化されてくるのである。社会保障制度改革国民会議では、療養の範囲の適正化のみならずフリーアクセスの制限なども議論の俎上に上り、「いつでも、どこでも、誰でも」保険証1枚で受けられる医療からの転換が強調されている。

 我々はこのような情勢の中で、先人が築き上げてきた国民皆保険を堅持し、国民の健康と命、生活を守る真の福祉国家をつくるべく、京都府保険医協会が提言する「社会保障基本法」の制定運動を進めていく。そして皆保険を惜しみない努力で支えてきた開業医医療への適正な評価を得るべく活動していく。その決意のもとに下記の通り決議する。

一、福祉国家を目指す「社会保障基本法」を制定し、政府の社会保障責任を明確にせよ。

一、TPP参加・医療の産業化をやめ、社会保障制度としての国民皆保険を堅持せよ。

一、国民皆保険の守り手である開業医医療に対する正当な評価をし、安心して患者さんに向き合える医療制度と診療報酬を実現せよ。

一、消費税増税をやめ、医療のゼロ税率適用を実現せよ。

一、医療者は、地球環境を守り、戦争をしない平和な日本の担い手になろう。

2013年7月28日
京都府保険医協会
第66回定期総会
(第185回定時代議員会合併)

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