第64回定期総会(第181回定時代議員会合併)特集/総会アンケート  PDF

第64回定期総会(第181回定時代議員会合併)特集/総会アンケート

「社会保障と税の一体改革」提案における医療関連政策について

 政府は6月30日「社会保障と税の一体改革」の成案をまとめ、具体的な改革案については工程表に従い順次遅滞なく実施するとしている。改革案は、社会保障の機能強化のための「充実」策とともに「重点化・効率化」策を組み合わせて提示し、その財源として消費税を引き上げ、社会保障目的税化するとしている。充実と効率化の抱き合わせで出されているため、単純な評価が難しくなっているが、医療・介護の改革項目のうち、特に会員に影響の大きいと思われる項目について、現段階での評価を聞いた。対象は、7月31日の総会出席者114人。回答数は98(86%)。

平均在院日数減、外来患者数5%削減に7割が反対

 はじめに、急性期医療への医療資源の集中投入など医療提供体制の機能強化や在宅医療の充実、外来受診の適正化などにより、平均在院日数を削減することや、外来患者数の5%削減、要介護認定者3%削減等が盛り込まれている。このことについて考え方をお聞きした。

 「賛成」が9人(9%)、「反対」が71人(73%)、「その他、わからない」が18人(18%)であった(図1)。「入院日数、外来受診の要否は病状が決めることで、経済が決めることではない」との意見に象徴される通り、経済的側面から平均在院日数の削減を打ち出す改革案については反対意見が多数を占めた。また外来受診の適正化による外来患者数の5%削減は、「必要な初期医療(と治療)を制限、締め出すことになる」などの懸念意見が出されている。

図1

受診抑制を招く受診時定額負担には反対

 長期患者・低所得患者に対する高額療養費の自己負担限度額の引き下げを提案する代わりに、その財源捻出のために、現行の3割等の定率負担とは別に、定額(例示100円)自己負担を徴収するとしている。

 この点については、「賛成」が14人(14%)、「反対」が71人(73%)、「その他、わからない」が13人(13%)であった(図2)。これも「財源捻出と称して受診抑制を図る狙いが透けて見える」「さらなる負担はきつい」「高額療養費の負担を減らすために日常診療の負担を一律に増やすのは筋違い」と反対意見が多数を占めた。一方で、「賛成」が設問1と3より多くでているのは、「高額療養費の見直しによる負担軽減」と抱き合わせで出されているためか、「他に財源がない場合は自己負担も止むを得ない」という意見も一定割合存在するためと考えられる。

図2

薬剤に対する新たな患者負担導入に危惧

 給付の重点化・効率化策の一つとして、後発医薬品の更なる使用促進とともに、医薬品の患者負担の見直しが提案されている。その記述は、「市販医薬品の価格水準も考慮して見直す」となっており、現在徴収されている定率負担とは別に、薬剤にだけ着目した負担の導入が考えられている可能性がある。この点について考えをお聞きした。

 「賛成」が9人(9%)、「反対」が67人(68%)、「その他、わからない」が22人(23%)であった(図3)。具体的な見直し方法は現在のところ不明であるため、「その他、わからない」が23%であったが、68%は反対の意を表し、「高薬価構造への切り込みは必要だが患者負担への転嫁は筋違い」「患者負担の拡大等であり、特に慢性疾患の有病者を圧迫するものである」などの意見が寄せられた。

図3

消費税を主たる財源としても社会保障財源は増えない

 前述のような諸改革を前提に、2015年度段階での社会保障経費を賄うための財源として、5%の消費税引き上げを提案するとともに、将来的には、社会保障給付にかかる国と地方の公費負担の全体について、消費税を主たる財源とする別建て会計にしていくことを提案している。

 この点については、「賛成」が31人(32%)、「反対」が43人(44%)、「その他、わからない」が24人(24%)であった(図4)。反対が44%に対し、賛成も32%にのぼり、消費税を主たる財源にすることで社会保障財源が確保され、社会保障の費用増大にも対応できるとの期待が見てとれる。一方でまた、「その他」の意見の中でも「他にないなら仕方ない」といった消極的容認意見も見られる。

図4

 成案を詳しく見ていくと、消費税については2010年代半ばまでに段階的に10%まで引き上げ、目的税化するとされているが、引き上げ5%のうち、社会保障の機能強化分は2・7兆円で1%分に過ぎない。税率引き上げに伴う社会保障支出増1%分を除いた3%分はプライマリーバランス(基礎的財政収支)の改善に回され、これまで一般財源から調達していた公費が消費税に置き換えられるだけである。

 さらに目的税化(消費税のみで社会保障財源を賄う)により、社会保障給付の増大は消費税アップに直結することになり、逆に言えば税率アップの拒否は給付抑制、範囲縮小、質の低下につながる。またそれは同時に企業の社会保障責任を曖昧とすることにもなる。

 こうした理解が広がっていなかったことが、今回のアンケート結果にあらわれているのではないかと思われ、正確な情報の発信とともに、消費税以外の道の提示なくしては現在の流れを変えることは難しいことを示している。

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