第63回定期総会 質疑応答の要旨
国の財政赤字の中で
島津恒敏代議員(中西) 日本は先進国の中で最大の財政赤字を抱え、いつ破綻してもおかしくない状況にある。その中で、医師として何ができるのかが問われている。自民党政権時代の、銀行への公的資金投入やイラク戦争への加担などに、多くの予算がばら撒かれた。まさに、そのツケが回ってきている。貧富の格差が拡大したことも小泉政権のツケだ。こうした責任を追及するとともに、今後をしっかりと見据えた行動が重要である。
増田副理事長 私たちがどのくらいの福祉を求めて、どのくらいの負担をするのかを考えねばならず、財源論抜きの要求運動だけでは始まらない。消費税について、協会は反対の立場ではあるが、悩みつつ考えているのが現状だ。皆さんのいろんな意見を伺いながら議論していきたい。
在宅点数について
山本昭郎代議員(下西) 在宅患者訪問診療料等における同一建物居住者に対する取り扱いについて、現在、市営住宅などに訪問診療を行っているが、今回の取扱いのために、わざわざ日を変えて、訪問診療を行っている。東京など大規模マンションがある都市の実態は、どうか。また、保険部会の活動方針に「実態を集約し」とあるが、その結果はどういうものか。「改善を目指す」とあるが、「撤回」してほしい。
鈴木副理事長 この項目は今回の改定で突然出てきたもので、それ以降反対を表明してきた。そもそも訪問診療料とは何なのかの考え方の基本をしっかりすべきと主張している。例えば足代をいれるのであれば、複数人診る場合でも最初の人には830点を算定できるようにすべきである。撤回を求めるのも一つの手段ではあるが、新しい考え方での要求を出さないと、元通りどころか、さらにおかしな方向に行ってしまう懸念から、この方針とした。
協会のアンケート調査では、通常のアパートでは1回の訪問診療で1・1〜1・2人、高齢者専用賃貸住宅だと3人以上を診ている実態がある。そういう高専賃やグループホームの診療報酬を抑制しようというのが国の狙いだ。まだ全国的な実態については、具体的には把握していない。
加藤善一郎予備代議員(下西) 当日資料で全会員アンケートの中間報告が配布されているが、ぜひこれをもとに有効なアピールをしていただきたい。
垣田副理事長 今回、久しぶりに全会員に配布しており、協会活動に資するために、未回答の方はぜひ答えていただきたい。
文書の簡略化について
小林充代議員(綾部) 厚労省管轄の文書類(診断書)について、もっと省力化を図り、記入しやすいような書式に改善するよう要望してほしい。特定疾患の診断書など、初回と同じ項目を更新の度に、一からすべて記入しなければいけない。また、担当医師が変わった時は、前回の患者情報がない状態で初めから記載しなければいけないので、非常に煩雑である。
また、地域ごとにどういった医療が必要なのかを、勤務医を含めた医師同士が直接に話し合いをする場が少ないように思える。地域において医師同士が建設的な議論ができる環境を整える必要がある。
与党への働きかけについて
門祐輔代議員(左京) 情勢報告の中で、政権与党の中に構造改革推進と反構造改革のせめぎ合いがあって、新自由主義の流れに傾きつつあるとの認識は、その通りだと思う。その中で、政権与党に対してどう働きかけをするのか、具体的なものがあれば示してほしい。
垣田副理事長 医療者としては、地域の医療がどうなっていくかが喫緊の課題であり、お金がなくて受診できていない人たちがいる実態がある。地域の端々まで私たちが目を行き届かせて、医療を提供できているのかどうかは、大きな問題になると思っている。京都府や各市町村でどういう実態になっていて、医療者として何をやっていけるのか、まずは京都府、京都市といろいろな折衝を持っていきたい。また国会には、京都の民主党から有力な議員が多く出ているので、政権交代から約1年を経て、その中で果たしていく役割を我々が注視しているということを話しをして、その結果を会員に知らせていきたい。
事務所移転について
島津代議員 新医師会館への入居問題に関して、京都府医師会が明確な理由を提示しないのは不誠実である。きちんとした誠意ある回答を出すのが当然であり、医師会会員として腹だたしい思いである。
一方で、新事務所の賃料は月100万円程度と聞いている。家賃の上昇分を補うために機関紙の発行回数を減らすという話を聞いたが、本当か。もし、そうであれば、新事務所については慎重に考えるべきだ。また、場所も一等地だが、年間の維持費は現在と比較して、どのくらい上がるのか。維持費が嵩めば、当然会費の値上げや職員の給与の切り下げに繋がりかねないので、しっかりと見通しを示してほしい。
関理事長 新医師会館入居の判断は会員の総意で決定すべきであったと考えている。また、現在の事務所費は、分室と合わせて月間約80万円。候補地は約100万円であるが、これは会議室も含めてのものであり、協会は年間約320回の会議を開いているが、これからはほとんどすべての会議を土、日、祝祭日であっても自前で開催できることになり、会議室料を考えれば現在より多い出費とはならないと考えている。場所の選定に当たってもいくつかの候補を検討して、価格交渉を行った上で総合的に判断した。また、このために機関紙の発行を減らしたというのは事実ではない。
垣田副理事長 機関紙については、ここ数年かけて発行回数を減らしてきており、今年度は実質3回減らすことになる。これにより、週刊での発行を変更せざるを得なくなっており、実情に合わせて、この秋から月の発行回数を新聞2回、メディペーパー1回とすることを理事会で決定している。ご理解いただきたい。
村上堯代議員(右京) 事務所の移転に伴う規約改正について、住所と略図の最低限の記載しかなく、もっと詳細な内容がわかる資料を提示してほしかった。
消費税について
緒方伸好代議員(西京) 消費税に関して、協会はどのようなスタンスなのか。個人的には、短期的には無駄の削減を行わなければいけないと思う。そうでなければ、消費税の増税は無理だ。しかし、中期的には消費税を増税せざるを得ない。その際に、協会が主張するゼロ税率は意味が出てくる。長期的には、法人税と所得税の税率をあげなければいけない。そのためには、国際的な協調のもとに世界各国の税率を合わせる必要が出てくる。長期的には法人税と所得税の税率アップを掲げた上で、中期的には消費税を増税すると言わなければ、国民の同意は得られない。
内田副理事長 消費税に関しては、協会内部でも意見が分かれていて、確たる回答をしにくいのが現状。ただ、今言われているような、消費税増税とともに法人税を引き下げることや、財政が足りないから即増税ということには、反対である。いろんな無駄を削減して、探してもそれでも足りない、その場合の引き上げは必ずしも反対で一致するかどうかは難しいと思う。
入会対策について
八木晴夫会員(宇治久世) 会員アンケート等を見ていると、協会の勤務医会費が高いという意見がある。今後、協会の会員を増やすことは非常に重要になってくる。そのためにも、勤務医の時代から協会会員になってもらうことは重要だ。これからは、会費の種別をもっと増やすとともに、会員要件の一つである地区医師会の入会などの条件も、弾力的にしてはどうか。
(文責:編集部)
定期総会への祝電をありがとうございました。メッセージをお送りいただいた方は以下の通り(順不同・敬称略)
民 主 党・衆議院議員・国土交通大臣 前原 誠司
民 主 党・衆議院議員 山井 和則
民 主 党・衆議院議員 北神 圭朗
民 主 党・衆議院議員 泉 健太
民 主 党・衆議院議員 豊田潤多郎
民 主 党・衆議院議員 小原 舞
民 主 党・参議院議員 松井 孝治
民 主 党・参議院議員 福山 哲郎
民 主 党・参議院議員 川合 孝典
自由民主党・参議院議員 二之湯 智
日本共産党・衆議院議員 穀田 恵二
日本共産党・参議院議員 市田 忠義
日本共産党・参議院議員 井上 哲士
社団法人京都府薬剤師会
株式会社京都銀行
三井住友海上火災保険株式会社
株式会社損保ジャパン
保団連はじめ全国29の協会
総会懇親会に協賛いただきありがとうございました。
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