第62回定期総会(第177回定時代議員会合併)決議
「小泉構造改革」を継承した、安倍・福田短期政権に続き誕生した麻生政権も、十分な国民の支持を得られぬまま、混迷の中でついに衆院解散に踏み切った。この間、新自由主義、市場原理主義路線のもと、国民生活は良くなるといわれ続けてきたが、経済は破綻し貧困・格差はさらに拡大している。
医療界においても世界に誇る国民皆保険制度は無保険者の増加で形骸化され、病院経営の悪化と医師不足により、救急医療や周産期医療は根本から崩されてしまった。医療崩壊の元凶は「効率化」を優先した低医療費政策にあることは明白である。医療費抑制政策により疲弊した医療機関は、予期せず突如としておこる新型インフルエンザなどへ対応するだけの体力は、限界にきている。
さらに診療報酬オンライン請求義務化が強行されると、今後大きな負担が医療機関に押し付けられ、国民医療を地域で支えている小規模診療所の存続が危ぶまれる事態は必至である。
私たち保険医は、地域医療を担う立場から引き続き国民皆保険制度を堅持すると共に、すべての国民とりわけ子ども、妊産婦や老人が、安心して良質な医療と社会保障制度を受けることができる、本当の意味での「こころの豊かさ」を実感できる社会に変えていかなければならない。その実現に向けて以下のとおり決議する。
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?.憲法25条の理念を具体化する社会保障基本法を制定すること
?.社会保障にふさわしい医療・年金・福祉制度を確立するため、社会保障財源を確保すること
?.医療費総枠の大幅な拡大により、保険でよい医療が提供できる診療報酬体系を確立すること
?.後期高齢者医療制度は廃止すること
?.診療報酬のオンライン請求義務化を撤回し、社会保障カードの導入は止めること
?.介護保険制度に対する公費負担を拡大し、だれもが安心できる介護保障を実現すること
?.医師をはじめとした医療従事者の労働条件改善と医療従事者不足の解消により、医療の安全と地域医療の確保に努めること
?.主治医の主体性を尊重し、医学的根拠に基づいた審査と公正な指導・監査体制を確立すること
?.医療に関わる消費税は、ゼロ税率を適用すること
?.新型インフルエンザ対策をはじめとした公衆衛生施策の充実に努めること
?.核兵器廃絶と地球環境の保全を推進すること
2009年8月9日
京都府保険医協会