第39回医療研究全国集会in京都/開業医が日々直面する困難事例を紹介/市民講座「貧困と医療」をテーマに  PDF

第39回医療研究全国集会in京都

開業医が日々直面する困難事例を紹介
市民講座「貧困と医療」をテーマに

 日本医療労働組合連合会、第39回医療研究全国集会実行委員会などの主催により、第39回医療研究全国集会in京都が、6月15日から3日間の日程で開催され、全国から約1300人が参加した。

 開催初日、京都国際会館アネックスホールにおいて、一橋大学名誉教授の渡辺治氏を講師に、「社会保障と税の一体改革でどうなる、日本の医療・介護・社会保障」と題した記念講演を開催。講演会後には、協会が5月に行った韓国医療視察について、協会事務局が「TPP:韓国のFTAで医療はどう変わったか」と題した特別報告を行った。

 2日目には、京都大学を会場に市民講座を開催。「貧困と医療」をテーマに協会の垣田さち子副理事長が講師を務め、約140人の参加者を前に講演した。

 垣田氏は国民皆保険で平均寿命世界一の恩恵を受ける一方、14年連続3万人を超える自殺者、貧困率の上昇、皆保険制度の後退など、国民生活が困難性を増し、健康が阻害される実態が進行している。この具体例として、協会の受診抑制実態調査及び実際に経験した困難事例を紹介した。

 調査結果からは、「窓口負担の支払いが困難なため、診療内容の手控えを患者自身が申し出た」61%、「医療機関が配慮して手控えた」47%、「未払い窓口負担を医療機関が被る」17%―など、患者との板挟みで苦心する医療機関の実態を報告(1面参照)。ある患者とのかかわりを報告した困難事例では、介護保険施行以前は行政が解決していたような問題に地域の医療機関が直面しなければならなくなった経緯を紹介した。

 低医療費政策の中で、開業医が献身的に国民皆保険を支えてきたが、それにも限界があり、強い公共で地域を支えねばならない。地域包括ケアという絵の中で、今後どういう制度を作っていくのかが問われると結んだ。

 また、同日の市民講座では、岐阜環境医学研究所所長の松井英介氏を講師とした「原発と医療」、京都橘大学准教授の高山一夫氏を講師とした「TPPと医療」も開催された。

市民講座で講師を務める垣田副理事長

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