第178回定時代議員会/決議
2009年に政権交代を果たした民主党は、官僚中心から政治主導へ、地方分権、温室効果ガス削減の国際公約等の方針を打ち出した。医療関連では、レセプトオンライン請求の義務化が撤回された。さらに社会保障費2200億円削減撤廃、後期高齢者医療制度の廃止、障害者自立支援法廃止、外来管理加算の5分間ルール廃止が注目される。一方、行政刷新会議で、財務省主導による「事業仕分け」作業が強力に推し進められた。診療報酬をめぐっては、厚生労働省、中央社会保険医療協議会、財務省の間で議論が戦わされた。しかし、民主党が政権公約で掲げた総医療費引き上げは極僅かなプラス改定に止まる不満足なものになった。そして財源の限られる中から出てきたのは、「配分見直し」を優先させる案であった。これに対し京都府保険医協会は、今日の医療機関の脆弱化を招いた原因とも言える過去のマイナス改定を回復し、医療崩壊阻止のために病院と診療所の診療報酬総枠引き上げを主張する要請書を提出した。
後期高齢者医療制度改革について、民主党政権は高齢者医療制度改革会議を立ち上げ、2013年に新制度がスタートする予定である。高齢者の負担軽減のためにも速やかな改革を求める。
レセプトオンライン請求義務化が撤回され実質選択性となったことは評価される。ただ、標準病名、診療情報の請求目的以外の利用、社会保障カード導入問題などについて今後注視していく。
民主党政府税調は来年度の税制改正に向けて、社会保険診療報酬の事業税の非課税措置を見直し、課税を検討している。しかし、社会保険診療は公共性の高いものであり、非課税措置の存続を求めていく。
国民健康保険はすでに破綻状態で保険料も増額してきており、高齢者や格差社会による低所得層の生活を圧迫している。私たちは、憲法25条で保障された国民が健康で文化的な生活をおくるために、国と自治体による新たな社会保障と福祉制度の構築に向けての活動を展開してきた。今後も会員と共に社会保障基本法の実現に向けた運動を行う所存である。
京都府保険医協会は、医療崩壊阻止のための医療の再構築、国民・患者を守るための社会保障制度実現を目指して、以下の事項を決議する。
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一、医療崩壊の阻止のため、診療報酬の「配分見直し」ではなく、総枠引き上げを行うこと
一、後期高齢者医療制度の廃止を早急に実行すること
一、オンラインまたは電子媒体により提出されたデータの目的外利用をしないこと
一、社会保険診療報酬に関わる事業税の非課税措置を存続すること
一、憲法25条の理念を具体化する社会保障基本法の制定を目指すこと
2010年1月28日
京都府保険医協会
第178回定時代議員会