第180回定時代議員会 質疑応答の要旨  PDF

第180回定時代議員会 質疑応答の要旨

 協会は1月27日、第180回定時代議員会を開催し、下半期活動方針、決議等を採択した(前号既報) 。本号は質疑応答の要旨を掲載する。(文責・編集部) 

■財源問題等について

 加藤善一郎予備代議員(下西) 特別措置法26条について、11年度は存続されたが、来年度以降の見通しはどうか。

 内田亮彦副理事長 運動の成果で11年度は存続となったが、今後も毎年でてくるだろうから引き続き運動していかねばならない。

 緒方伸好代議員(西京)  昨年の総会でも個人的考えを述べたが、消費税は短期・中期的には増税せざるを得ない。その場合、長期的には国際協調で法人税の税率を上げるという流れがいいのではないか。協会として具体的な財源の提示ができないならば、消費税増税に関するコメントを避ける方がいいのではないか。

 内田副理事長  消費税については理事会でも意見が分かれており、具体的提案はできていない。まず消費税の安易な引き上げには反対との立場だ。また、医療へのゼロ税率実現を主張している。

 島津恒敏代議員(中西)  日本の国家財政は破たんしている。民主党を擁護するわけではないが、現在のような財政状況では、誰が政権を担当しても何の政策も打てないだろう。これは、すべて自民党政治のツケである。その状況下でも、社会保障などの諸権利は守らねばならない。情勢認識をしっかりした上で、協会も活動していかなければ、すべてが絵に描いた餅になってしまう。

 垣田さち子副理事長  皆さん同じように感じているだろうと思う。医療に限って言うと、私たち団塊の世代が数年先にどうなっているかが、全ての政策の中心課題だ。医療費を拡大させず、いかに縮小させていくかということから、後期高齢者医療制度が提起された。議員でさえも、年齢による差別のことばかりで、真の問題である財政問題を理解できていなかったのが実情だろう。政権交代して新制度として出されているものは、年齢問題は和らいではいるが、財政論については手がつけられていない。さらに介護保険をどうするかで出てきたのが地域包括ケア。医療を使うとお金がかかるので、できるだけ医者に出てきてもらわないかたちでケアをし、互いに面倒みあっていこうというもの。そう書くのは簡単だが、診療の現状を見ていると本当にそんなことでやっていけるのか、と思う。日本の皆保険は守らなければならないが、すでに権利を剥奪された方がたくさんいる現状に直面している。安易に消費税増税では解決できないと思う。医療・福祉の費用はしっかりと政治の中心課題として獲得してもらうため、私たちが発言していかねばならない。民主党の議員には、医療の現場から声を上げてリアリティを感じてもらい、政策に反映させていく時期にきている。消費税の問題も含めて、議論もしながら方向性を出していかねばならないと思っている。

 鈴木卓副理事長  税と社会保障の一体的改革が言われ、その実現のために消費税増税がでてくる。我々の要求する医療の充実が、逆進性の強い消費税を財源に達成されるとなると、国民と医療担当者が分断される可能性がある。我々がより裕福な暮らしをするためだと国民が受け止めたら、我々の運動は支持されない。本当に医療崩壊が食い止められ、医療が良くなっていくという国民の納得があってこそ、消費税増税も受け入れられると思う。医師として覚悟をもって語っていかねばならない時期にきていると思う。我々自身がどこまで本当に身銭をきるようなかたちでの医療行為をしていけるか、例えば累進課税の強化や、所得を把握するための納税者番号をどう考えるのか、そこまで議論を深めていかねばならないと思っている。

 門祐輔代議員(左京)  社会保障憲章を整備し、社会保障基本法を制定するということは非常に大切な考えだ。しかし同時に、財源をどう確保するのかということも関心が高い。社会保障問題に携わってきた人は、社会保険料の企業負担の割合を増やすというのが共通の考え方だと思う。「権利としての社会保障」を社会保障基本法でしっかりと押さえながら、現実の問題として財源をどう捻出するか、協会としても積極的な議論の場を設けてほしい。

 また、消費税の問題についても、輸出企業には消費税が増税されても、還付金制度があるのでそれ程大きな問題ではなく、むしろ内部留保金が増えるというのが現実だ。そういう部分をどう扱うかが大きなテーマだと思う。

■保険医年金及び公的年金問題について

 加藤予備代議員  保険医年金について、受給時期はいつ頃が最も良いのか教えてほしい。また、協会の会員の保険医年金への加入率はどの程度なのか。

 内田副理事長  保険医年金の受給時期については、個々のライフプランによって違う。年金としても一時金としても受け取れ、死亡時には遺族に支払われる。先生方によって事情が違うので一慨には言えない。注意してほしいのは、解約するとその年の収入が増えて、税金が多くなる。予定利率は、現在1・256%で、昔のように高利ではないが、少しでも上げて行くよう努力したい。加入状況については、11月末時点で2530人の会員中、月払783人(会員)・536人(家族従事者)、一時払221人(会員)・128人(家族従事者)である。

 緒方代議員  年金問題については持論がある。例えば人口の20%を高齢者に設定し、残り80%を高齢者以外にすれば、常に80%の人が20%の高齢者を養うので問題はなくなる。受給開始時期の変動など若干の問題はあるが、協会も公的年金に先駆けて保険医年金で取り組んでみてはいかがか。

 内田副理事長  保険医年金に関しては、個人が積み立てたお金を年金型や一時金で受け取る私的年金なので、何人で何人を支えるというような公的年金とは話が違う。

 田代博代議員(右京)  高齢者の定義は一般的には「65歳」とされているが、あまり意味があることと思えない。上位数%を高齢者と設定するのはいい方法だと思う。協会もそうした発信をしていけばいいと思う。

■喫煙対策について

 安田雄司予備代議員(下西)  喫煙習慣は疾患として扱われており、多くの医療団体で受動喫煙防止の取り組みを行っている。先進国では建物内での喫煙は禁止され、京都でもそうなるよう活動している。協会は、タバコ問題に関心があるなら、検討項目にいれて積極的に活動してほしい。それなりの対策をすれば、医療団体としての周りの評価も高くなるだろう。

 飯田哲夫理事  関心がないわけでも、疎かにしているわけもないが、取り上げられてないのが現状だ。

 緒方代議員  例えば、先進国で92年以降生まれの喫煙を禁止する国際協調を結べば、50年後には喫煙者がいなくなるがどうか。

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