稼働中原発に初の運転差し止め  PDF

稼働中原発に初の運転差し止め

国と電力会社に重い司法判断

 3月9日、大津地方裁判所は、関西電力・高浜原子力発電所3、4号機に対し運転差し止めを命じる仮処分を決定した。原発から70キロメートル以内に住む滋賀県の住民らが申し立てたもので、初の稼働中原発への運転停止命令となる。

 住民側は新規制基準自体に不合理性があるとした上で、同基準に依拠した関電による安全対策は有効でないと主張。決定文では、関電の主張や説明の範囲では「このような備えで十分であるとの社会一般の合意が形成されたといってよいか、躊躇せざるをえない」と言及し、不十分だとした。

 また、避難計画においても、決定文において「この避難計画をも視野に入れた幅広い規制基準が望まれるばかりか、それ以上に、過酷事故を経た現時点においては、そのような基準を策定すべき信義則上の義務が国家には発生しているといってよいのではなかろうか」と言い切るなど画期的な判決となった。そして、地裁は福島第一原発事故を踏まえた過酷事故対策や外部電源に依拠する緊急時の対応方法の問題点、耐震性能決定における基準地震動策定の問題点で危惧すべき点があり、津波対策や避難計画も疑問が残るなど人格権が侵害される恐れが高いにもかかわらず関電は説明を尽くしたとは言えないと断じた。

 3・11直前に出された今回の大津地裁の決定を受け、あらためて協会は国および電力会社に対し脱原発を求めていきたい。

ページの先頭へ