税制要望、各省政策会議が聴取へ/新政府税調が初会合
民主党政権による初の政府税制調査会(会長=藤井裕久財務相)が10月8日、官邸で開かれた。これまで政府と党にそれぞれあった税調を一本化し、委員を各府省の副大臣ら国会議員だけで構成して政治主導による税制改正を行う。日本医師会など関係団体からの要望は、各府省の副大臣が各省の「政策会議」などを通じて調整する。租税特別措置の見直しを含め政府税調は税制改正の年内編成を目指す。
鳩山由紀夫首相は会議冒頭、「税の議論こそ政治家が真剣に行わなければならない最大のテーマ。政府税調が議員で構成されていることはまさに画期的だ」と述べ、政治主導で公正公平な議論を進めていくとした。
民主党は旧政権の党税調について「一部の議員が幅をきかせ、業界団体の利害調整に当たっていた」として問題視してきた。このため党税調をなくし政府税調に一本化した。会長は財務大臣、会長代行には総務大臣、国家戦略担当大臣が就いた。厚生労働省の税制担当は長浜博行副大臣が務める。
峰崎直樹財務副大臣はこの日の会議で「副大臣は各省政策会議などを通じて、与党、主幹団体との調整に責任を持っていただきたい」と述べた。また、「査定側の気概を持って調整に当たってもらいたい」とも述べ、団体の利益代弁ではなく、中立的な立場で聞き取りを行うよう求めた。
各府省の税制担当副大臣は10月30日までに税制改正要望の見直し案をまとめ、税調に提出する。減税を要望する場合には、財政規律の観点から減税に見合った財源案と合わせて提出する。
租特の見直し、11月中旬までに論点整理
一部の納税者の税負担を軽くする租税特別措置(租特)については、税調の下にプロジェクトチームを設置して見直し作業を進める。財務、総務の各副大臣と政務官をメンバーにして11月中旬までに論点整理を行う。民主党は租特の見直しなどで2.7兆円の財源を捻出することをマニフェストに掲げている。租特が既得権化している点もあるとしてゼロベースで見直し、不必要な税制優遇を廃止する考えだ。
藤井会長は「予算は年内編成するとはっきり言っている。従って側面の税制も年内編成をお願いしたい」と述べ、年内に税調としての結論を出すとした。
鳩山首相が同日、税調に示した諮問によると▽税と社会保障制度の適正な運営のための番号制度やその執行体制▽適正な課税を推進するための納税環境整備▽健康に対する負荷を踏まえた酒税・たばこ税の課税─などを検討課題に挙げている。(10/9MEDIFAXより)