私の宝物 思い出の写真
小宮精一(左京)
私は8月生まれということもあってか夏が好きである。さすがに近年の異常気象による猛暑は、歳とともに体力の落ちた身に堪えるが、それでも夏は気持ちを明るくさせるので好きである。どこまでも澄んだ蒼い空、湧き上がる真っ白な積乱雲、見上げているだけで心が爽やかになる。
私の古いアルバムに1枚の小さな写真がある。野球帽にランニングシャツ、ちょっと偉そうに腰に手をやり微笑みながら遠くを見つめる私がいる。背景の空には1本の若竹が大きく伸びている。少年の笑顔とその未来を期待するかのような若竹の構図はなかなかの傑作写真である。撮影者は父、写真のサイズからカメラは当時流行の安物の二眼レフで、6歳の誕生日の記念に撮ってくれたのであろう。
8月は終戦記念日、お盆、私の誕生日と続く。この写真にはわが子が元気に育って欲しいという願いとともに、大陸に出征していた父のこの平和が続いて欲しいという気持ちも託されているように思う。いま戦争をしない日本の根本が揺るがされている。この夏はもう一度戦争や平和について考えてみたい。