私のすすめるBOOK/支援活動の先に開かれる未来
2011年3月11日に発生した東日本大震災および福島第一原発事故を受けて、この間、日本全国の各団体・個人が立ち上がり、緊急支援、および日常支援がさまざまな形で行われてきた。京都民医連中央病院もその団体の一つとして、各団体と連携を取りながら、災害発生時から支援活動を行っている。今般、その記録として、『東日本大震災の支援活動の記録 災害支援と地域づくり』という書籍が刊行された。
東日本大震災と原発事故に対し、「いのちと健康を守る」という医療者の立場から行った、被災地支援活動、また、ほぼ毎週というペースで行われた支援者への激励を兼ねた支援のための学習会の記録がまとめられている。
東日本大震災という甚大な被害をもたらした天災に加え、福島第一原発事故という、人災をも抱えることになった日本。私たちはこのことをどう考え、行動すべきか。
本の中で、吉中丈志院長は、「明治維新、終戦に次ぐ歴史上の岐路に直面していることを指摘する意見も多く出されています。震災の復旧・復興に当たって日本国憲法の精神がしっかりと貫かれるならば、新しい日本への道が開かれるのではないでしょうか? 震災を経て平和と福祉と環境を大切にする国へと転換したいものです」と叙述している。
支援活動を行う姿を通し、日本の将来をどう導くかが私たちに問いかけられている。ぜひ、ご一読いただきたい。
(下京西部・飯田哲夫)
『東日本大震災の支援活動の記録災害支援と地域づくり〜暮らしに生きる学問をめざす〜』
京都民医連中央病院 東日本大震災支援対策本部/編、せせらぎ出版、定価1,905円+税(2011年11月20日刊)