私のすすめるBOOK　患者さんに薦めたいカゼ予防法

『朝、起きてすぐの歯みがきが、あなたを守る』
川合満著、メディアファクトリー
定価１,０００円（２００９年１１月２０日初版）

　川合先生は、呼吸器科の専門家として日々診療にあたる中、カゼやインフルエンザを引き金として、多くの病気が発症することを実感してこられました。

　先生はこの本の中で、カゼやインフルエンザの予防策として、「起床直後の、家族全員による、ていねいな歯みがき」を提唱しておられ、また自院の患者さんに、起床直後の歯みがきを指導したことで、インフルエンザ治療薬の処方量が激減したという結果を紹介されています。

　全国的に広まっている虫歯予防「３３３運動」（１日３回、食後３分以内に、３分間歯をみがく）から、もう一歩、起床直後の歯みがきを定着させるための苦労話も交えながら、川合先生は「高価な費用のかかることではありません。生活習慣を少し変化させるだけでいいのです」と、朝・晩の歯みがきの仕方、うがいや手洗いといった、日常的な予防対策、腹式呼吸の励行なども解説されており、日常生活の習慣を見直すためのよいテキスト本でもあります。

　また、インフルエンザに罹った場合の対処法について、一般の方、小児、妊婦、高齢者など、対象者別に留意点が紹介されています。特に、小児については、インフルエンザ脳症による異常行動が現れることがあります。タミフルが関与しているのでは、といわれていますが、一般の解熱剤にも脳症との関与が指摘されているものもあります。自宅にある置き薬を小児に投与することは、大変危険と先生は指摘されています。

　一般の方を対象に、ウィルスや酵素の仕組みなどを含めて、分かりやすく、丁寧に「なぜ、起床直後に歯みがきをすると、カゼ・インフルエンザにかかりにくくなるか」を説明されている、この著書。待合室の本棚に１冊、いかがですか？

（事務局・二橋芙紗子）