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京大合唱団が80周年演奏会

 合唱のコンサートというと、多くの人達にとってはなじみが薄いのが現状であろう。演奏者はほぼ100%アマチュアで、先ずは本人の楽しみで集まってくる団体である。しかし同時に、多くの団員はもっと多くの人々の耳と心に合唱ハーモニーを!と志し、音楽を国中に広めんと頑張ってきた。そのような人達が80年前、混声合唱団を創設し、また卒業してから幾星霜、更なる情熱を持って再び集まっていわゆるOB合唱団を結成した。

 80年前といえば、戦中で男女交流が厳しく制限されていた時代に、男声は京大生だが女声に女学生や社会人を入れて合唱団を結成した。様々な妨害を受けながら発足し、演奏曲目では当局と妥協しながらも混声合唱の灯を点した、その合唱普及に向けた情熱には胸を打たれる。そのメンバーの一人が、聖路加国際病院理事長・日野原重明氏である。

 京大合唱団のOB会として関東支部の新年宴会には日野原氏は必ず出席され、ジャーナリストの鳥越俊太郎氏(彼もOB)とのトークショーが恒例となっている。

 そのようなOB会の京都の地での合唱団として15年前に発足し、2年に1回演奏会活動を行ってきている。京都府保険医協会の会員も2人参加している。その80周年記念コンサートである。今回の演目は、男声では堀口大学の有名な翻訳詩集『月下の一群』に曲付された珠玉の5編。最終曲は上田敏の『海潮音』でも有名なヴェルレーヌの『秋の歌』である。『秋の日のヴィオロンの…』の名調子であるが、実は誤訳であるとして堀口大学が遠慮がちに再訳出した傑作である。混声合唱は團伊玖磨作曲の『筑後川』、勇壮な曲想に仕上がっている。その他女性合唱や若い現役大学生の合唱などバライティに富む構成である。

 暑気払いのひと時を豊潤な肉声ハーモニーに身を沈めてみられてはいかがであろうか。

(中京西部・鈴木 卓)

京大合唱団創立80周年記念演奏会
京大合唱団創立80周年記念演奏会
2011年9月3日(土)開場12:30、開演13:00
京都コンサートホール小ホール
チケット1000円(全席自由 京都協会で斡旋当日券あり)

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