社保研レポート/医療IT化のあり方を考える
第641回(7/23)レセプト情報活用・番号制度を考える―医療IT化はどうあるべきか―
講師:京都府保険医協会 副理事長 鈴木 卓氏
第641回社会保険研究会は7月23日、「レセプト情報活用・番号制度を考える―医療IT化はどうあるべきか―」について鈴木卓先生のご講演であった。鈴木先生は保険医協会の副理事長で保険部会を担当されており、大変有意義な内容であった。
現在のところ、不確実で進行中のものもあり、先生が述べられたトピックスとして、まずITによる遠隔医療においては力を発揮しやすい分野で成長戦略で企業化もしやすい。遠隔手術も話題になったが、死亡例もあり、手術ライブ教育には指針が作られている。また、遠隔ダ・ビンチ手術については法律が未整備で、責任分掌の明確化も課題となっている。その他問題点としてはセキュリティ、データの送り手・受け手双方のレベルアップ等が挙げられる。
レセプト審査の効率化として厚労省内事業仕分け(基金関連)で、審査の充実として突然、縦覧審査機能の開発として2011年4月より実施される予定であったが、大震災の影響で延期になっているようだ。また、当日配られた資料によると、2011年5月診療分で電子レセプト請求を行っている医科医療機関数の割合が81・3%となり、このような状況の中で、少ない事例ではあるが、「コメントデータ漏れ」や「単位コード記載漏れ」等による返戻や「オンライン請求だが、あったはずの病名が抜けていた」ことによる減点が見られているようである。
また、レセプト・特定健診等情報データベースにおける患者情報等の匿名化に関してハッシュ関数、個人認証法についての説明がされたが、情報の解釈、安全性には問題点が残る。
番号制度(国民ID制度)と社会保障カードについては種々の問題があり、適応範囲を限定し、国民・住民の利便性を重視することが大切であると強調された。
(西陣・竹中 健)
講演する鈴木卓副理事長