社保研レポート よりよい在宅医療連携にクラウドシステムを提案  PDF

社保研レポート よりよい在宅医療連携にクラウドシステムを提案

第653回(7/19) クラウドシステムを利用した在宅医療連携
講師:在宅医ネットよこはま代表 オカダ外科医院院長 岡田孝弘氏

 今後高齢者人口が増大するとともに、在院日数の短縮化や療養型病床の削減などの施策により入院・入所が困難となり、在宅を選択せざるを得ない患者の増大が容易に予想できる。また、地域中核病院や後方支援病院とともに、より医療依存度の高い患者を在宅で受け入れていかなければならないことも覚悟しているところである。その際に必要なことは、これまで以上にケアマネジャーをはじめ介護施設、訪問看護師、訪問歯科医師・薬剤師、ヘルパー、入浴・栄養等の各種サービス担当者・業者、そして地域中核病院・後方支援病院との有機的な連携である。
 今回、横浜市で「在宅医ネットよこはま」を立ち上げクラウドシステムを利用し、在宅医療・介護・福祉の連携を積極的に推し進めて活動されている岡田孝弘氏の講演を聴く機会に恵まれた。
 クラウドシステムを患家に取り入れることにより、他職種の関係者が情報を共有し迅速・適切に対応、検討できるメリットについて非常に納得できるものであった。また、遠方の患者家族もパスワード入力だけで、より詳しい医療情報が得られることで安心感が高まることも理解できた。問題点としては、コンピュータシステムに対する患家の抵抗感、セキュリティー、費用、業者によるシステムの互換性などが挙げられた。
 当初、一医療機関に対する他職種の連携にクラウドを利用するものと思い込んでいたが、横浜では在宅担当医を地区ごとに分けて一患者を多数の医療・福祉関係者で情報を共有するという、より大きなシステムが構築されようとしていることに驚いた。オープンではないにしても、パスワード一つで情報が瞬時に共有できることはメリットもあるが、ある種危険もかなりあるのではなかろうかと感じた。また、差し障りのない情報であれば、電話やSNSの利用でも可能ではないかとも感じた。連携の大切さは十分認識しているが、内容はもとより利用者範囲を含めた情報管理についてはより慎重に対応していかねばならないと感じた。
 在宅診療に非常に意欲的に取り組まれている姿に感銘を受けた。自分なりに患者・家族に対し、より良い対応をいかにして提供できるかを改めて考えさせられ有意義な講演であった。
(与謝・石井 靖隆)

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