社会保障費、過去最大28兆7079億円/11年度政府予算案  PDF

社会保障費、過去最大28兆7079億円/11年度政府予算案

 政府は12月24日、一般会計総額が92兆4116億円と過去最大となる2011年度予算案を閣議決定した。主要な歳出項目が09年度と比べ軒並みマイナスの中、社会保障費は高齢化の影響で過去最大の28兆7079億円(前年度比5.3%増)となった。社会保障費が大部分を占める厚生労働省の予算案も過去最大の28兆9638億円を計上した。

 09年度、初めて国の新規国債発行額が税収を上回る事態となったため、政府は歳出抑制のため新規国債発行額を10年度と同額の44兆円に抑え、地方交付税と一般歳出を合わせた「歳出の大枠」も10年度と同じ71兆円以下にする目標を立てた。このため11年度予算案では国債発行額も歳出の大枠もほぼ同額に抑えることができた。ただ、子ども手当の給付拡充などマニフェスト項目の実施や社会保障費の自然増約1兆2000億円などで歳出が膨らんだ結果、2年連続で国の新規国債発行額が税収を上回った。

 予算編成の終盤では、年金の国庫負担を2分の1にするため、10年も税外収入のいわゆる埋蔵金に頼った。埋蔵金は09年度より3兆4136億円減って7兆1866億円。

 10年は各省庁の予算を1割削減した財源を使い、成長分野などに重点配分する「元気な日本復活特別枠」を設けた。特別枠は当初1兆3000億円を計上する予定だったが、最終的に2兆1000億円を計上することになった。防衛省の在日米軍の駐留経費負担など、義務的経費を特別枠で要望する省庁が現れ、政府は特別枠を大胆に削ることができなかった。

●C判定ライフイノベーションが44%減
 特別枠は各省庁からの189の要望事業を政府の評価会議がAからDに評価した上で予算配分した。省庁全体では、A判定の事業は要望額の99%、Bは88%、Cは77%、Dは6%が認められた。厚労省分ではAが87%、Bが80%、Cが42%と、Cの落ち込みが大きかった。厚労省大臣官房会計課によると、厚労省の要望事業で最も額が大きかった「ライフイノベーション」(C判定)が232億円から131億円と約44%も削られたことが影響しているという。 厚労省は予算の1割削減で837億円を特別枠の財源として提供し、特別枠の事業費として計上できたのが510億円だった。政府に提供した額の61%を回収できたことになる。(12/27MEDIFAXより)

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