社会保障支出の増加抑制を/OECDの対日報告書  PDF

社会保障支出の増加抑制を/OECDの対日報告書

 経済協力開発機構(OECD)は4月21日、日本の財政状況や経済見通しを分析した2011年版の対日審査報告書を公表した。日本の財政は「極めて厳しい状況に達している」とし、社会保障支出の増加抑制策が優先事項になると指摘。財政健全化に向け、将来的には「消費税率を20%相当まで引き上げることが求められるかもしれない」と強調した。

 社会保障について報告書は、安定財源を確保する必要性を指摘し「医療、介護分野における改革などを通じた社会保障支出の増加抑制策が優先事項となる」とした。その上で▽介護サービスについて、病院からより適切な介護施設へのシフトを促す▽診断群分類の改革により、支払い方式の改善を図る▽後発医薬品の利用を拡大する▽専門医による不必要な診断を減らすため、ゲート・キーパー制を導入する―を提言した。

 財政をめぐっては、GDP比で200%まで増加した日本の公的債務残高は「未知の領域」と指摘。消費税率は欧州平均並みの20%まで引き上げることになるとの見通しを示し、「11年度中に税制改革の詳細を公表し、増税はできるだけ早く始めるべき」と強調した。

●「混合診療拡大を」/経済成長へ改革求める
 政府の新成長戦略については「医療・介護も潜在的な成長源となる」とする一方、大部分が公的財源で賄われていることを踏まえれば「現行の枠組みの下で支出を増やすことは財政状況を悪化させる」との見方を示した。

 その上で「公的保険の対象とならない診療をより安価で利用可能なものとするため混合診療の範囲を拡大する一方、すべての必要な診療を対象とするといった公的医療保険の目標は、少しその野心を抑えなくてはならないかもしれない」と指摘した。(4/22MEDIFAXより)

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