社会保障の将来像「政府全体で」/細川厚労相
細川律夫厚生労働相は10月1日、専門各紙との会見に応じ「社会保障は保険料、公費、自己負担の3者のバランスが最も重要。社会保障の将来像を描き、これだけのサービスにこれだけの財源が必要だから、国民にこれだけの負担をお願いするという、税制改革と一体となった議論が必要」と述べた。長妻昭前厚労相が打ち出した「少子高齢社会の日本モデル」の具体化については「社会保障は他省庁にもかかわりがある。首相官邸を中心に、厚労省が描く日本モデルを政府全体でオーソライズする必要がある」とした。
●同時改定「機能分化・連携を促進」
2012年度に控える診療報酬・介護報酬同時改定については「住民が地域の中で必要な医療・介護サービスを受けられる社会を目指さなければならない。そのためには、医療と介護の担当区分を明確にした上で連携し、従事者が総合的に協力し合う体制づくりが不可欠だ」と述べ、機能分化と連携を重視する考えを示した。
11年度末の廃止を撤回する方針が示された介護療養病床については「介護老人保健施設への転換が、思ったように進まなかった。そもそも老健施設への転換方針に無理があったのではないかということも含めて検討したい」とした。
●「地域医療支援センター」で偏在是正
医師不足・偏在の問題については「実態調査の結果でも医師不足がはっきりした。早急に対応しなければならない」とし、偏在については「11年度予算の概算要求に盛り込んだ『地域医療支援センター』で調整し是正を図りたい」と述べた。
後期高齢者医療制度廃止後の新制度確立に向けた議論が佳境を迎えていることについては「年齢による差別をなくし、高齢者でも国保か被用者保険に入ることが原則」とした上で、運営主体を都道府県に置く必要性にも言及。全国知事会が慎重な姿勢を示していることについても「納得していただけるように誠意を持って最大限努力をしたい」とした。
細川厚労相は、1990年の衆院選で初当選を果たし、衆院厚生労働委員などを務めた。09年9月の鳩山由紀夫政権の発足に伴い厚労副大臣に起用され、10年6月の鳩山前首相の辞任後に発足した菅内閣でも再任された。副大臣時代には主に労働分野を担当していた。東武鉄道や東京メトロの労働組合が支援する私鉄総連の準組織内候補で、運輸政策を中心に取り組んできた。弁護士出身だったことから、06年に党内に労働契約の議論の場をつくり、厚生労働委員会に所属して労働者派遣の問題などに取り組んできた。医療や介護の政策づくりの実績はない。
菅改造内閣ではこのほか、財務大臣に野田佳彦氏が留任したほか、文部科学相に高木義明氏、経済産業相に大畠章宏氏が新たに起用された。(9/21・10/4MEDIFAXより)