社会保険診療報酬に対する事業税非課税措置を
存続させることについての要望
前略、貴職の国政に果たされます重責に敬意を表するものです。
当会は京都府内で保険診療に従事する開業保険医2600人で構成する団体です。
現在、2010年度税制改正にむけた議論が行われていますが、医療機関の社会保険診療報酬にかかる事業税(地方税)が非課税となっている特別措置について、政府税制調査会の仮査定では、担当諸官庁の「要望内容の抜本的見直しができなければ(存続は)認められない」との判断を示したとの報道がされています(MEDIFAX11/19)。
この事業税非課税措置は、高い公共性から存続措置がとられてきました。ご承知のとおり、事業税の前身は営業収益税(国税)で、本来資本収益に対する課税という性格をもっています。現在の事業税は1954年に体系が確立されましたが、社会保険診療報酬に係わる事業税の非課税措置は、それに先立つ1952年に議員立法により創設されていました。
社会保険診療報酬に対する事業税の非課税措置は、(1)国民の健康と命を守る、(2)社会保険診療報酬は公に定められており、国民皆保険制度と不可分の関係にある、(3)学校健診・救急医療など地方自治体のサービスに主体的に携わっている、(4)医療の営利性は禁じられている、(5)応召義務があり、正当な理由なく診療を拒否することはできない等々保険医療機関のきわめて高い公共性、行政サービスの一翼としての機能からみて、長年にわたって保険診療の持つ公共性・公益性に鑑みた税制措置として実施されてきました。
国税である消費税は、医療の公共性・公益性から非課税であり、それゆえ生じている損税の問題は放置したままとなっているにもかかわらず、地方税である事業税を課税とするのは公共性・公益性を否定することであり、税制のあり方として矛盾します。
民主党は医療政策の考え方として「崖っぷちの日本医療、必ず救う!」と医療界に公約したはずです。
行政刷新会議における事業仕分けでは診療報酬の引き下げ、開業医から病院への配分見直しをいい、税制では医療非課税に矛盾する事業税課税へと舵を切る政策では、「崖っぷちの日本医療、崖から突き落とす」ことになります。
「医療崩壊」を建て直すためには、地域医療を支える医療機関全体の底上げが必要です。地域医療を守り充実した医療をおこなっていくために、社会保険診療報酬に対する事業税の非課税措置の存続を強く要望するものです。
[要望]
1、社会保険診療報酬に対する事業税の非課税措置の廃止については反対であり、存続すること。
2009年11月24日
京都府保険医協会
理事長 関 浩
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宛先(敬称略)
内閣総理大臣 鳩山由紀夫
財務大臣 藤井裕久
厚生労働大臣 長妻 昭
厚生労働副大臣 長浜博行
政府税制調査会委員