眼科診療内容向上会レポート
4月20日、京都ホテルオークラにて眼科診療内容向上会が京都府眼科医会・京都府保険医協会の共催で開催された。参加者は86人。京都府眼科医会副会長の中路裕氏が講師を務め、保険点数の留意事項と最近の審査事情について解説を行った。座長は京都府眼科医会理事の松田敏央氏。
アンケートや事例もとに審査留意点の情報を共有
はじめに保険医協会が実施した「審査に関するアンケート調査結果」について説明がありました。回答から審査内容について、「少し不満」・「大いに不満」は基金で36%、国保で38・7%、減点・査定については、「病名漏れ」が基金・国保ともに70%強、納得できない減点理由は、「明らかな病名漏れは返戻してほしいから」が約50%と最も多く、返戻では被保険者資格に関するものが多く、基金・国保ともに80%もあり、毎月の保険証確認の重要性を訴えました。
またレセプトから、疑い病名が長期間記載されていたり、疑い病名のまま治療されていたり、急性疾患のままの長期間記載や、レセプトとカルテの整合性が保たれていなかったり、返戻に対する回答が不備など基本的なことが守られていない医療機関があるとの報告があり、保険医である医師は、診療内容のみならず診療報酬請求も含め、すべての責任を持たねばならないとの注意がありました。限られた医療費の中での保険診療であるので、検査や投薬・処置・手術などは、主訴・症状・所見から必要性を十分に考慮の上、必要最小限で行うべきであるとの注意もありました。また病名と検査・薬剤の整合性のないレセプトは基本的に一次審査で査定になること、検査や処方薬に対する病名の書き忘れなどの単純ミスは、基本的には一次審査において返戻の対象ではなく査定の対象となるなどの説明がありました。
後半は各論で、一次審査、再審査で気になったところをあげての説明でした。検査の回数と実日数の食い違いがあること。算定不可のものとして、角膜形状解析検査と角膜曲率半径計測の同時算定、眼底三次元画像解析と眼底カメラ撮影の同時算定、眼底カメラ撮影の蛍光眼底と自発蛍光撮影の併施など。算定可能なものとして、高眼圧症や視神経乳頭陥凹拡大でのOCTの算定、眼底カメラ撮影(自発蛍光撮影)とOCTの同時算定などがありました。散瞳剤なしの細隙燈顕微鏡検査(前後)112点は48点に減点、再診時に行った屈折検査と矯正視力検査は矯正視力で算定を、初診時での前眼部病名のない生体染色の算定は、可能な時も、返戻や査定となる時もあり、再診では原則認められない。それから狭隅角のみでの縮瞳剤の使用には「緑内障の急性発作予防」の注記が必要なこと、また白内障手術時の局所麻酔剤の最大量は5であることなど、他にも多くの事例が挙がりました。また会場からは「数年前にコンタクトレンズ処方経験のある患者さんに対しての初診料・再診料の取り扱い」の質問があり、「コンタクトレンズ装用自己中止」の注記がない限り再診料算定となるとの説明があり、今後の改善要求項目の一つと訴えつつ、診療内容向上会は終了しました。
(上京東部・草田 英嗣)
多数の参加者で開催された眼科診療内容向上会